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香肌文庫 第118回 地天泰 2016年はどんな年?

易占に「地天泰/ちてんたい」という卦があります。この卦は天が下にあり、大地が上にある形になっているのですが、天地がひっくり返っているわけではありません。上にある天が下降し、下にある大地がそれに呼応し上昇して交わるという姿で、天地交流の安定した状態を表します。ですから「泰」という名前が付けられているのです。地天泰は易者の看板にもなっています。
私達の健康状態も同じで、上に昇る性質の熱が下降し、沈む性質の冷気が上昇することで頭寒足熱という理想の健康状態になれるのです。反対に天がそのまま上にあり、大地が下にある姿は一見普通のようですが、易ではこれを「天地否/てんちひ」と言って、交流のない陰陽分離の状態を示します。今の政治は天地否かもしれません。体調では下半身が冷えて頭顔がのぼせるという状態です。東洋医学
でこれを「逆気」と言います。
天は上にあって下へ、地はそれに応じて下から上へと働きかけるのが安定した自然の姿なのです。
古代人はこのような天の働きを父とし、大地の働きを母としました。天の気が下降して大地がそれに呼応して万物を育成する様は、夫が給料を妻に渡すことにより、妻が育児や家事を行うのと同じです。押し広げて男性と女性とも言えます。
天の働きは能動的であるのに対し、大地の働きは受動的なのです。この大地の働きを気学九星で二黒土星と言います。そして迎える2016年は二黒土星の働きの影響を受ける一年となります。

大地の働きは地味でゆっくりしています。ですから、派手な話題や急変するような出来事は起こりにくい年となります。また、大地は物を帰納・収蔵する働きから、人々も財布の紐が固くなり、贅沢を避け、節約の風潮となりそうです。今は高価なプレミアム商品が結構売れているそうですが、それも続かないでしょう。
次に犯罪ですが、今年2015年は三碧木星の年だったため、少年が犯罪に巻き込まれたり逆に犯罪を起こすという事件が相次ぎました。「三碧をもって少年・若い男性とする」からです。同じように考えると「二黒土星をもって母親とし、女性とする」ことから、来年は母親による虐待事件や婦人による犯罪が目立つかもしれません。もちろん悪いニュースだけではなく、各方面での女性の活躍が目立つ年になることも予想されます。
災害では「大地」の平坦作用による土砂崩れ
など注意が必要です。
その他二黒土星のキーワードを挙げますと、労働者、農業、地方、大衆、土地、低価、遅延などです。
世間音痴の私より、皆さんの方が上手に社会予測できると思います。

この二黒土星の年や月に生まれた人は上述した大地の働きを持っています。天からの資質を受けてコツコツと働く大地のように働き者であり、謙虚で優しい性質をしています。人を押し退けたり威張ることはありません。
そのため自分が上に立つよりもその補佐的な立場にいる方が向いています。何事もマメで、与えられた事に柔順に従います。ですから二黒土星の人は頼もしい上司、伴侶に恵まれるかどうかが運勢を左右します。
ただ、素直で柔順とは言え、大地は暖まりにくく冷めにくい性質から、二黒土星の人が一度臍を曲げると収拾がつきません。二黒土星でも生まれた干支によっては豪傑に見える人もいますが、根底には必ず細やかな母性を
持っています。最近話題の「イクメン」なども二黒土星のパパに多く見られます。女性が強くなり外へ出る現在では大変もてるタイプと言えるでしょう。このような理由からか、多くの二黒土星の男性は金剛夜叉のような強妻をもらっています。
東洋医学では二黒土星を消化器官とします。飲食物を丹念に消化して栄養にする働きは、天からの資質を受けて万物を育む大地の働きそのものです。

さて、これまで9年間に渡って気学九星による新年予想を年末の恒例にしてきましたが、今回でようやく一巡となりました。これまでの9回分を全てまとめれば、立派な気学入門書になると思います。年月の予想や他人の性格、自分自身の天性を知る手がかりに活用してみて下さい。
第28回一白水星 第38回九紫火星 
第47回八白土星 第58回七赤金星 
第71回六白金星 第82回五黄土星
第94回四緑木星 第106回三碧木星
第118回二黒土星
今年は移転の慌ただしさであっという間に師走となってしまった感じです。この稿を今年も無事に書き終え、ホッとしております。皆様のおかげで無事に新年を迎えることができそうです。
また、遠く関東から来て頂いた香肌治療院ゆかりの方々にもこの場を借りて感謝申し上げます。2016年が皆様にとって地天泰でありますように。一年間ありがとうございました。


第118回香肌文庫 2015.12.1

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