香肌文庫 第82回 黄色い親分 2013年はどんな年?
三重県津市の郊外に「こぶ湯」と呼ばれる湧き水があります。その歴史は古く神代から湧出していると伝えられ、日本書紀にも記載されています。「こぶ湯」の名称は体にできたイボやこぶがこの霊泉を飲んだり皮膚に付けると治ることから呼ばれるようになりました。また体の中にできたこぶ、つまり腫瘍にも効いた人がいるそうです。私も過去に一度訪れたことがあります。この霊泉は地下のかなり深い所から上がってくるそうで、口に含むと硫黄の香りがしました。温泉の香りです。深い深い地球の中心ってこんな香りが立ち込めているのかもしれません。さて、2013年の暦は「五黄土星」となります。五黄土とは地球の大本の原土で、殺滅と生成の作用を持っているとされています。殺滅と生成の作用を持つ土って硫黄のことではないでしょうか。五黄の「黄」は硫黄の色を指しているのではないかと思います。硫黄はご存知のように物質を腐敗させる作用がありますが、反対に温泉の効能や医薬品に用いられるなど、生成と言うべき作用もあります。毒にも薬にもなる物質です。
そして殺滅と生成とは何かが滅び何かが生まれるということですから、五黄土星の年は「変化」の年とされています。それも五黄土星の変化は他の土星の変化とは違い「大変化」と言われています。
実際に過去の五黄土星の年には第一次大戦、太平洋戦争、五一五事件、朝鮮戦争、地下鉄サリン事件など、世間を揺るがす事件が多く起こっています。また、関東大震災や阪神淡路大震災、新潟中越地震、スマトラ島沖地震、伊勢湾台風など自然災害も目立ちます。現在の様々な状況の流れを見ていても少し不安な気になります…。
私は予言めいた話はあまり好きではありませんが、五黄土星の年は過去の例からも少し気を付けて過ごして頂きたいと思います。変化には何かしらの犠牲は致し方ないものですが、命に関わるような惨事だけは免れるよう願いたいです。そして喜ばしい事が誕生してくれることを祈ります。喜ばしい誕生と言えば、私は娘の出産時に立ち会ったのですが、羊水のせいなのか生まれた時に硫黄臭が漂ったのを覚えています。まさに五黄の生成作用によって生命が誕生するのだと思いました。そう言えば卵も中心が黄身で茹でると硫黄臭がしましたね。
この五黄土星の年や月日に生まれた人も上述のように変化作用を持っています。そのため個人差はありますが、他の星に比べ浮沈の多い人生となります。また殺滅と生成ということから両極性があるとし、剛毅な人か柔和な人かにはっきり分かれ中位がありません。ただし両極とは両面性でもあるため柔和な人は奥底に剛毅を秘め、剛毅な人は意外な繊細さが時々顔を出します。さらに両面性とは右でもあり左でもあるため中心性に通じます。このため五黄土星の人は最終的には自分が属する場の中心になる運命を持っています。
また、余計な一言をかまして場をしらけさせる人を俗に「KY」と言いますが、これも五黄土星生まれの人に時々見られます。これも場を「変化」させてしまう作用からなので仕方ないのです。そう思えば腹も立ちませんし、相手も悪気が無いことに気付きます。KYには落ち込んだ時に相談してみてください。きっと悩みを殺滅し良い変化作用をもたらせてくれます。KYいや、五黄土星の人は敵にまわすと厄介なのですが、味方にすると大変頼もしいところがあります。
東洋医学では土性の臓を脾臓としています。ただしこれは現代医学で言う膵臓に相当します。膵臓は体の中心の奥深い所にあり、色も淡黄色をしています。土性の腑は胃となっています。強烈な酸で食べた物を消化・腐熟させ、新しい生命エネルギーに変える作用も五黄土星そのものです。
病気ではガンが相当します。どうしてガンが五黄土星の病かと言うと、大抵の病はその病性が陰性か陽性、分かりやすく言えば熱か冷えか、炎症か衰弱かなどに分けられるのですが、ガンの場合、例えば大腸ガンのように下痢と便秘を繰り返すなど両性の症状が現われるからです。陰にも陽にも絞れないため治療も難しくなるのです。文頭でご紹介したこぶ湯ですが、「五黄の水が五黄の病(腫瘍)に効いた」という話は何か治療のヒントが隠れているような気もします。
2013年 迎える五黄土星、この黄色い親分を敵に回さず味方につけ、変化の年を無事に乗りきりましょう。
皆様の健康を願い今年最後の発信とさせていただきます。どうぞ良いクリスマスとお正月を迎えて下さい。
一年間ありがとうございました。
気学の「後天定位盤」
魔法陣とも呼ばれ縦横斜めどこを足し算しても15になる。
第82回香肌文庫 2012.12.1