「鍼に電気は流さないのですか？」このような質問が時々あります。
当院では鍼に通電はしておりませんが、治療院によっては一定の深さに刺した数本の鍼に低周波のような電流を流す所もあります。刺した鍼に通電した方が効果的なのでしょうか？
結論から言いますと、特に電流を流す必要はありませんし、電流を流して効果が増すということはありません。さらに言うと刺激過剰になりやすく、ツボの効果が無くなってしまう可能性が大いにあります。この文庫でも度々触れていますが鍼治療というのは筋肉や神経に対する物理刺激ではありません。使用するツボもそれぞれ手技方法・刺入方向・深浅・時間・相性を考慮します。また＋極と－極それぞれの特性も補法・潟法という手技で出来ます。

それでは電流を流すことは体にとって無意味かと言いますと、そうとも言えません。東洋医学理論から見ても電気は筋肉と相性が良いと言えるからです。第一回で紹介しましたが、五行では電気も筋肉も同じ木性となります。実際スポーツトレナーとして鍼治療をされている先生方には選手達の筋肉疲労や損傷を電気鍼をすることで大いに効果を上げている方も見えます。ただこの場合は鍼を刺すとはいってもツボというより筋肉を目標に行なっている場合が多いようです。
最後になりますが、通電を単なる物理刺激ではなく、もっと高尚な理論から応用している先生も一部にいらっしゃるようです。
今回は単に電気鍼＝効果的　電気鍼＝新しい鍼治療　と考えている方々への回答として述べました。

第40回香肌文庫　2009.2.1