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香肌文庫 第56回 Simple is best.~東洋医学の病因観 

猛暑から急激な気温の低下で体調を崩しカゼを引かれる方も多いようです。さて、カゼというと現代の医学ではウイルスによるものと考えますが、顕微鏡などの検査機器のない昔に発展した東洋医学では病の原因をどのように考えていたのでしょうか。
東洋医学では病の原因を内因・外因・不内外因の三つに分けて考えます。内因とは怒喜哀楽の感情の乱れによって生ずるもの、つまりストレスです。外因とは風・熱・湿・燥・寒の気候の変化に影響されるもの、不内外因とは食べ過ぎや睡眠不足など不摂生から生ずるものです。一般に言う「カゼ」はこの中の外因に相当します。外因となる風熱湿燥寒は正常な自然現象なのですが、体に悪影響を及ぼした場合には風邪・熱邪・湿邪・燥邪・寒邪といった悪名に変わります。これら五つの邪が単独もしくは複数で体に影響を及ぼすのですが、
どの経絡(第43回経絡って何?参照)がどの邪に犯されるかによって症状が違ってきます。
例えば、風邪が太陽経という経絡に入れば頭重や首の後ろが凝るといった症状が現れます。同じく太陽経に寒邪が入れば腰痛となりますが、この場合は前後に腰を曲げられないといった特徴を示します。
また世間を騒がしている新型インフルエンザは陽明経という経絡に熱邪が入ったものと考えられます。同じ陽明経に寒邪が入れば花粉症様の症状となります。そしてこの夏多発した熱中症は熱邪に寒邪や湿邪が絡んでいると思われます。どうですか、東洋医学ってあきれるほど単純だと思いませんか。

「こんな単純な理論で複雑化し続けている病原菌に対処していけるの?」と思う方がいるかもしれません。しかし大丈夫です。なぜなら東洋医学は症状治療なので何菌に犯されたかによって処方を決めるのではなく、表われている症状によって治療を決めるからです。もちろん絶対西洋医学に頼るべき感染症もありますが、どれだけ新型の病原菌が出てきても理論が振り回されることはありません。単純であるがゆえに数千年の歴史を超えてきたのです。単純とは決して「未熟」なのではなく、無限の応用力を秘めているのです。
世で名を成した人をよく見て下さい、皆さん素晴らしく単純な方ばかりですから。

第56回香肌文庫 2010.10.1

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