香肌文庫 第43回 「経絡」って何？
A 心臓が動いているからです。
Q なぜ心臓は動いているのですか?
A 脳や神経が働いているからです。
Q 脳や神経を働かすのは何ですか?
A ．．．．．。
確かに私達は脳や神経をはじめ血液や各々臓腑があることによって生きていることは言うまでもありません。しかしこれら各パーツが揃っているだけでは死人と変わりません。これらのパーツに息吹を与えなくては生命体にはならないのです。ではこの息吹とは何なのでしょう? もうこれは目には見えない何かの働きが存在すると素直に認めざるを得ません。
この生命活動を営む見えない働きをしているのが「経絡」なのです。いわゆる「気」の流れです。
西洋医学はパーツの故障＝病気と捉えますが、東洋医学では目に見えない経絡の働きにこそ畏敬の念を抱き、病は経絡の変動から始まるとしています。
経絡には主に12種類の流れがあり、各々の担当臓腑を巡って全身を隈なくネットワークしています。俗に言う「ツボ」はこの経絡上に現れる反応点であり、鍼を刺して経絡を正常にする治療点となります。正式には「経穴」と言います。目に見えない経絡の状態を知るには東洋医学独自の脈診や腹診を行います。目に見えない風の動きを揺れる木の葉で確認するのと同じことです。
鍼灸は筋肉や神経を刺激するものではないことや、頭の症状を足に鍼を刺して治す理由もこの経絡の存在で理解して頂けたと思います。 鍼灸治療とは経絡の治療なのです。それにしても目に見えない働きを認識し系統立てた古代の先人には本当に驚きです。
第43回香肌文庫 2009.5.1
