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香肌文庫 第208回五行の話② 木性と金性

前回に続いて五行の話をします。今回は木性と金性ですが、五行は個々に説明するより二極性のものを対比して説明した方が簡単に理解できます。木性と金性は対比関係となっています。
五行を季節に置き換えると木=春、火=夏、金=秋、水=冬となるのですが、この四つは天から下降する働きであると前回説明しました。そして土性のみは大地の働きで、季節では土用になります。土用といえばウナギを食べる夏の土用のことと思われがちですが、実際には春夏秋冬の変わり目すべてにあります。土用期間は天の働きが弱くなり大地の働きが強烈になるため体のバランスを崩しやすく、畑仕事や草むしり等をすると体力消耗します。土用期間が終わった日が立春、立夏、立秋、立冬となり天の働きが始まります。土性について

木性の働きは草木が育つ春で「伸長」、金性の働きは草木が成長を止める秋で「収斂」です。伸びる作用と縮む作用です。オーブンのパンが加熱されて膨らんでいくのが木性、膨らんだパンが冷めて縮んでいくのが金性です。春と秋は平均気温が同じなのですがこのように作用が違います。
五臓では木性は肝、金性は肺に当たります。ですから肝機能が旺盛な人は伸長作用があるため面長の顔をしており、肺機能が旺盛の人は収斂作用があるため締まったひし形の顔をしています。長距離ランナーに面長が少なく、ひし形の顔ばかりなのも頷けます。長距離は筋力ではなく肺活力で走るからです。逆に短距離選手は面長が多くなります。肝=筋力だからです。

性質も肝機能が旺盛な人は伸長作用なのでとにかく前へ出ます。発言も多く行動的です。年を取っても若々しくみえます。肺機能が旺盛な人は収斂作用があるため冷静沈着でよく考えて行動します。若い人でも落ち着きがあり風格があります。
私は本を買う時には宣伝帯よりも著者の顔写真や生年月日をみます。木性タイプの著者は新説や独自の考えが多く、面白味があります。ただしまとまりが悪いところがあります。金性タイプの著者は通説や伝統を大切にし、理路整然としています。新しい知識やオリジナリティーな内容を求めるなら木性タイプの著者、教科書、辞書的な内容を求めるなら金性タイプの著者というように自分が求めたい本の指標にします。

感情の五行は木=怒、火=喜、土=思、金=悲、水=恐となります。つまり伸長=怒り、収斂=悲しみです。「こんちくしょう!」は成長の糧です。雷も木性の象意で怒りなので、雷の多い年は豊作となります。
そして怒りは木性なので肝から湧きます。10~20歳代は肝が主体的に働くため反抗期や思春期が発生するのです。金性の感情である悲しみは体を凝固させ縮めてしまいます。悲しみは肺から湧きます。そのため喘息の子供の多くは寂しがり屋です。また、人生の秋である老齢期が来ると肺の働きが主体になるため、少しのことで涙もろくなります。一日の働きでも夕方は肺が主体的に働くため夕焼を見てセンチメンタルになるのです。

今回は木性と金性の話をしました。僅かな例でしたが、この世の様々な現象は全て伸長と収斂という二極の働きに過ぎないということが分かっていただけたと思います。次回は火性と水性の話をします。



第208回香肌文庫 2023.6.1

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