香肌文庫 第102回 極まれば変ずる
ホメオパシーという療法があります。同種療法とも呼ばれ、例えば頭痛の症状に敢えて頭痛を引き起こす成分を投与することで自然治癒力を活性化させて治そうとするものです。「第55回 揺さぶり」で紹介した鍼灸治療の奇策と似ています。このホメオパシーは西洋で生まれたものですが、その考え方は極めて東洋的なのです。
東洋思想の真髄である「易経」では、全ての事象は「極まれば変ずる」と教えています。例えば寒気の後で発熱したり、高熱の後汗が出て解熱に向かう等も「極まれば変ずる」です。
同じように悲しみや喜びも永久に続くものではなく、極限まで行くと変化するということです。
それでは悲しさから早く解放されるにはどうすれば良いのでしょうか?気を晴らそうと明るい音楽を聴いたり、賑やかな所へ行ってごまかそうとしても中々癒えないものです。むしろ今の心境に近いセンチメンタルな曲を聞いたり、悲しい映画を観たりする方が極まって静かな力が湧いてきます。
反対に幸せな時はどうしたらよいでしょうか?「極まれば変ずる」は御免ですよね。それなら極めなければ良いのです。例えば、儲け過ぎたら寄付するとか、慈善事業、ポランティア活動などをして他に与えれば良いのです。実際に傾かない企業や不変の富裕者たちはみんなやっています。驕る平家になると確実に変じます。 悲しい時は大いに悲しみ、嬉しい時は人助けをしましょう。
それにしても毎日毎日暑いですが早く極まって変じて欲しいですね。暑中見舞い申し上げます。
第102回香肌文庫 2014.8.1