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香肌文庫 第95回 魔除け

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
ところで皆さんもう初詣は行かれましたか? 神社の入り口には魔除けの狛犬が睨みをきかせていますが、その効果は恐い顔のせいだけではありません。重要なことは左右対称に居るということです。門番と同じです。
これが左右のどちらかが欠けている状態を「隙がある」と言い、そこへ攻め込むことを「虚を衝く」と言います。鍼灸治療の診察に際しても、うつ伏せに寝てもらい左右の背中の高さを比較します。そして低い側を虚とし、その不均衡が整うことを治療成功の目安とします。体が疲労してくると必ず左右不均衡になっています。
こういう半健康状態の時に邪(ウイルス)が虚を衝いてくるのです。 また、ある建築家が言うには、不良品を
多く出してしまう工場は、作業場の床が水平ではなく僅かに傾いている場合が多いそうです。
医学の未発達だった時代の人々は、病は悪霊の仕業と考え、呪術や祈祷でそれを祓おうとしていました。
今から見れば馬鹿馬鹿しく思ってしまいますが、鍼を刺すということも灸で体を焼くということも元々は同様の行為から始まったのではないでしょうか?後々それが医療となっただけかもしれません。医療の源流は東西問わず魔除けから始まったのではないかと私は思っています。例えば酒で清める儀式も、形を変えてアルコール消毒になっただけです。風呂に入る習慣も「禊ぎ」が元だそうです。また、香りの強い植物も魔を追い払う目的だったものが、成分的に薬に認められただけです。 
結局病気の原因を「魔」と捉えようが「ウイルス」としようがどちらでも良い気がします。治療方法に大差はありません。

狛犬の話に戻りますが、左右対称と言っても向かって右側は口を開け左側は口を閉じており、微妙に違っています。実は人間の体も左右対称が良いとは言え、微妙に違うのです。目も鼻道も耳も手足も巧みに変えられているのです。これは同じ環境下で両方がダメにならないように設計されているとも言われています。
鍼灸治療で使うツボも左右同じ所には反応は出ません。必ず左右差があります。
東洋では奇数を割れない陽の数として好み、偶数を割れる数、陰の数として避ける風潮があります。
よくよく考えてみると同じ数を足すと必ず偶数になり、一つ違いだと必ず奇数になるのです。
「一違いの左右対称」、これが病気や災を遠ざける魔除けです。バランスある一年でありますように。

第95回香肌文庫 2014.1.4

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