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香肌文庫 第89回 浮かせて治す

現代医学では新しい病名がどんどん増え続けているのに対し、東洋医学では病名が増えることはありません。
なぜかと言えば、病を深浅で捉えているからです。
例えば西洋医学で肺の病と言えば、喘息や肺炎、肺ガンなどの呼吸器疾患となりますが、東洋医学ではこれらの呼吸器疾患は肺の深い所が犯された病と考えます。それでは肺の浅い病は何かと言いますと、肌荒れや皮膚掻痒症などの症状となります。ですから肺の深い病である呼吸器疾患が治ってくると皮膚のかゆみや湿疹などが表れてくることがあります。これは病が浅くなった証拠であり、喜ばしいことです。しかし西洋医学で治療していますと、内科と皮膚科をはしごです。薬も咳止め、痒み止め、軟膏…増える一方です。東洋的見方によっては、病を再び奥へ戻してしまう恐れも考えられます。
身近な例では、肩こりなど深い所の凝りを治すのも浅い場所に浮かして治します。感触として深い凝りはゴリゴリした塊のように感じます。それが浮いて来ると筋肉が緊張したような棒状の凝りや皮膚表面が張ったような凝りの形へと変化します。鍼灸ではツボの使い分けによって深い凝りを浅部に移して治していくのです。

この「浮かせて治す」という手順は肉体の病だけでなく、心の病でも同じです。深い悩みを解決するのも浮かせて治すのです。その方法は、「他人に打ち明ける」ということです。適切なアドバイスなんか期待しなくても良いのです。とにかく誰かに話すということは、表面に浮かせる良い方法なのです。
上手なカウンセラーとはアドバイス上手ではなく、心を開かせる、つまり浮かせの名人のはずです。
西洋的ミクロ思考では「あの人のアドバイスによって治った」と考えますが、東洋的マクロ思考では「あの人に話したら治った」ということになります。
東洋医学では、病の始まりは「五志の乱れ」からとしています。五志とは怒、喜、憂、悲、恐のことであり、ストレスのことです。心の病が身の病にならないよう、誰かに打ち明けてみてください。答えは出なくても、話すだけで悩みは軽症となるものです。
ストレスの解決策として、思っている事を紙に書き出すという方法もあるそうですが、これは心から紙へ転写することであり、これも浮かせる行為といえます。どうしても話す人がいなければこれも一法かもしれませんね。

第89回香肌文庫 2013.7.1

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