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香肌文庫 第87回 危所に遊ぶ

ミャンマーが新しい市場として注目されています。私も初めての海外旅行が20年前のミャンマーでした。
今とは社会状況も大きく違いましたが、意外に治安も良く、ミャンマー人は大変優しいので楽しく旅行する
ことができました。また、人々は仏教に対して非常に信心深く、観光でもそのほとんどが仏教寺院や史跡となるのですが、その中でもミャンマーの人達が特に大好きな聖地があります。それはチャイティーヨーと呼ばれる仏塔です。またの名をゴールデンロックと言います。私は残念ながらここへは行けなかったのですが、この仏塔は今にも崖から転げ落ちそうな岩石なのです。この落ちそうで落ちない緊張感がものすごいパワーを放っているようです。下に下手な絵をアップしましたが、写真を見たい方は検索して見て下さい。

話は変わりますが、当院は一般鍼灸の他に乳幼児を対象に小児鍼も行っております。小児鍼も色々な形があるのですが、当院は大阪で明治から続いている小児鍼の名家が使用している物を主に使わせてもらっています。この小児鍼は子供用に開発されたものではなく、三稜鍼と言って淤血(汚血)を出すための鋭利な物を、刺す目的ではなく皮膚を擦って使用したのが始まりのようです。今は多少改良されたようですが、それでも誤れば刺さってしまう程の鋭利さはあります。
私も始めは「皮膚を擦るだけならこんな危なっかしい物使わなくても…」と思いました。しかしまったく別の安全な棒で擦っても同様の効果は得られないのです。効果の秘密は何でしょうか? 
私は「危険な物を安全に使いこなす」ということがその答えだと思います。施術者の手技の良い緊張感が効果を増幅していると思うのです。小児鍼はまったく痛みのない気持ちの良い刺激ですが、子供によっては怖がって泣き暴れたり、動きまわったりするわけですから、治療も手早く短時間で大きな効果を生まなければなりません。それには生易しい物では間に合いません。私は師から「無痛鍼の極意」と教えられましたが、その意味が少し分かった気がします。刺せば痛いはずの鍼を、あえて痛みのないように刺すという行為が神通力となるのかもしれません。

さて、今年も各地で地震がありますが、日本という国が未曽有の発展を成し得たのも、危なっかしいプレートの境界上に乗っかっているからなのでしょうか。以前にパワースポットは断層上に多いという話もしました。
そしてその国の中心である東京も大阪も元々は人の住める陸地はほとんどなく、「何でこんな所を…」というような土地をせっせと開拓していったのです。東京も大阪も危なっかしい基盤の上に発展したのです。
「名人危所に遊ぶ」とは松尾芭蕉の言葉ですが、人間も一流の人は自分を決して安泰の場に置かず、常に冒険心を持って危所に挑み、上を目指すということです。
そう言えば以前TVで視たのですが、スタントマンなど死と隣り合わせの危険な仕事をしている男からはフェロモンが多く出るそうです。危ない男はモテるんです。でも今さら危ないマネはやめましょうね、お互い。

第87回香肌文庫 2013.5.1

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