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香肌文庫 第85回 陰陽は並立せず

東洋医学で言う臓腑には兄弟関係があります。兄弟関係ですから「似て非なる者同士」「互いに協力する者同士」という関係になります。全てを記しますと次のようになります。
肝臓-胆嚢  心臓-小腸  脾臓-胃  肺臓-大腸  腎臓-膀胱
現代医学の観点から見ると「えっ?」と思われる所があるかもしれません。例えば心臓-小腸の関係は循環器と消化吸収器官であり、兄弟どころかまったくの他人同士のようです。
しかし東洋医学では小腸は副心臓としています。体の血管の大半は小腸に集まっているからです。昼間は心臓主動の血液循環も夜寝る頃になると小腸による血液循環が活発となります。小腸の蠕動運動により腸の周りに網目のようにまとわりついている脈管が一緒に動くことによりなされるのです。貧血や立ちくらみを起こしやすい方が腸が弱かったりすることからも心臓と小腸の関連が伺えます。肺-大腸の関係も一見関連がなさそうですが、皮膚呼吸は大腸が司ると考えています。意識としては感じませんが、昼間は皮膚呼吸が主体となり、夜寝ている時はイビキの音からも分かるように肺呼吸が主体となっています。アトピー性皮膚炎と喘息を併せ持つ子供が多いことも周知のことです。そしてアトピーの症状が排便状態に左右されることも臨床上感じています。また、痔ろうの原因となる病原菌が呼吸器にのみ感染するはずの結核菌であることからも肺と大腸の関連性が伺えます。このように兄さんが活動している時は弟は休み、兄さんが休んでいる時は弟が主動的に働きます。表裏で助け合っているため兄弟関係に例えられているわけです。臓腑の働きは自然の摂理に従い、兄と弟が同時に表舞台に立つことはありません。

しかし人間社会では兄弟が表舞台に立ってしまうことがあります。そうすると必ず陰陽の洗礼を受けてしまうのです。兄弟でスポーツ選手になった人を見ていても、一方が好調の時は一方は不調の場合が多いものです。好不調が交互に訪れるならまだ良いとしても、一方は影に隠れてまったく目立たない存在になってしまうこともあります。スケートの浅田真央選手のお姉さんのように、ある時から妹を支える立場に成れるなら姉妹でも正の陰陽が働きますが、陰陽に逆らって無理をして続けていると、記録が伸びなかったりケガに悩まされたりと負の陰陽が働いてしまいます。
有名な相撲界の兄弟の不仲も色々な理由を取り沙汰されてはいますが、私は単純に「陰陽は並立せず」の現象に見て可愛そうに感じています。兄弟姉妹に同じ道を歩ませるのは注意が必要です。負の陰陽が働くなら一方は別天地で活躍するか、同所でやるなら横の陰陽ではなく縦の陰陽、つまり上下関係を明確に出さないと難しいようです。
商売でも儲かるからと言って分店を出すと、決まって負の陰陽が働きます。大抵はどちらかの店が暇になります。ただし自分は極力関与せず、雇い人に全て任せるなら話は別です。
そしてもっと陰陽の関係がはっきり出やすい関係があります。それは双子です。双子は一方がラッキーな時はもう一方は必ずアンラッキーになるという話を双子の方からよく聞きます。誕生日占いなども覆り、同じ誕生日にも関わらず正反対の性格になる場合が多いようです。これは陰陽が全ての理論の基盤になっているということです。
最後に秘伝を一つ紹介します。まったく容姿が同じの双子を見分けるにはどうしたらよいでしょうか? 
その方法は横顔を見ることです。多くは兄・姉の方が陽なので微かに凸面をしています。反対に弟・妹は陰なので凹面になっています。機会があればご観察下さい。      

第85回香肌文庫 2013.3.1

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