香肌文庫 第77回 健康は芸術的
ハスの花が見ごろを迎えます。ハスはその麗しい姿には場違いのような泥水の中で花を咲かせます。このような姿から仏教ではハスの花を仏の慈悲の象徴としています。
話は変わりますが、姓名判断という占いがあります。この占いを信じる信じないかは別として、一般的に良いとされている名前は家庭、社会、健康、財運に恵まれるものとなっています。
反対に悪い名前はこれらに恵まれないとされるのですが、「…ただし芸術面では成功の暗示あり」となっているのです。誕生日から人生を予測する四柱推命という占いでも芸術才能と孤独運はセットになっています。
常人では生み出せないような天才的作品は決して清んだ水のような環境ではなく、泥沼のような環境に身を置いてこそ生まれるのかも知れません。そういえば天才的作品を生んだ方々の人生って確かにそうです。
生まれも良く、配偶者や子供にも恵まれ、財もたっぷりある人の作品ってどうなんでしょうか？
さて、今回は健康のお話です。健康も大変麗しいものです。そうかといって健康になるために泥水を啜るような汚い生活を奨励するわけではありません。
言いたいことは、異常なまでに抗菌だの除菌だの神経質にならないことです。不必要に抗生物質に頼るのも問題です。私たちは多くの菌に助けられて存在していることは明らかです。バイ菌ですら必要悪です。
現代の生活、医療は身のまわり及び体内の菌を激減させているように思えます。様々なアレルギーもこういうところに原因があるように思えます。このままでは我々の抵抗力はどんどん虚弱になっていきそうです。
日本人から見て、あまり衛生的と言えない国に住む子供たちはアレルギーなどありません。貧しくても健康的で麗しく見えます。昔の日本もきっとそうでした。
不衛生な生活は良くないとしても、健康の後ろ盾になっているものは決して清んだ水のようなものだけでないということです。
第77回香肌文庫 2012.7.1
