香肌文庫 第74回 鈍感力は抵抗力
数年前に『鈍感力』という本が話題になり流行語にもなりました。ストレスを過敏に感じてしまうより、少々の事は気にもかけない鈍感さが必要ということです。我々の体も鈍感であることにより健康に暮らせていると言えます。この鈍感力が精神的なストレス等で弱まると様々な過敏現象が現われてきます。
例えば腸は消化吸収や排泄作用を行うために蠕動運動をしていますが、健康ならその動きを感じることはありません。しかし、ストレスで神経疲労が起こるとこの動きを過敏に感じてしまう方がみえます。多くが下腹部に違和感を訴えます。病院で検査しても何も見つかりませんし薬を服用しても治りません。最終的には「心療内科へ行ってください」と言われてしまうようです。
ストレス性の耳鳴りもそうです。これは今までになかった異常音が発生しているわけではありません。
耳の中の聴覚を司る部分には無数の細かい血管が循環しています。健康ならこれらを音として感じることはありませんが、過敏になるとこれら身体内部の雑音を感じてしまうことにより起こります。
女性に多い梅核気という咽喉に何かがつかえているような違和感も同じような症状と言えます。
さらに、風邪を引きやすいとか春に多い花粉症などのアレルギーも、ウイルスやアレルゲンに過敏に反応してしまうということから鈍感力の弱くなった症状と言えます。
こうして考えると、鈍感は健康、鈍感力は抵抗力と言えそうです。病気とは言えない過敏現象は気にしない方が治りやすいのですが、それがなかなか出来ないものです。
まずは「ただの過敏現象か、心配ないんだ。」と安心することから始めて下さい。
第74回香肌文庫 2012.4.1
