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香肌文庫 第73回 臓腑の相性

我々人間同士に相性があるように臓腑にも相性関係というものがあります。下図の左側が相生関係という助け合いやすい親子関係、右側が相剋関係という対立しやすい他人の関係です。
肝を例に取ると、肝は血液の貯蔵や血流量の調整機能がありますが、それは親にあたる腎が行う血液の浄化作用が前提条件であり、子供にあたる心の血液循環も心から見た親である肝の血流調整作用に助けられています。病でも肝の病が腎に及んだり、心に及んだりすることがありますが相生関係の病は比較的治りやすいものです。相剋関係では、例えば腎の元気がなくなると対中にある心が威張り出します。高血圧がその一例です。 
高血圧は心臓をはじめ循環器系統の問題と考えられていますが、原因は腎の弱りにあります。また、心臓病が悪化すると肺水腫となるのも同じく心が肺を剋する関係にあるからと言えます。相剋関係に及ぶ病は難治となります。このように一つの臓の病が治らずにいると、他臓全てに影響することが分かります。この理論から鍼灸や漢方は三箇所の症状があっても三種の治療や薬を施すのではなく、一種の治療が他の二つにも影響を及ぼすと考えます。

次に我々人間同士の相性ですが、占いでよくある木星人の相性とか水星人の適職などというのも全てこの原理が基になっています。親子となる相生関係が良い相性で、相剋関係が悪い相性ということです。つまり木星人なら水星人と火星人と相性が良く、土星人や金星人とは悪い相性ということです。
しかし実際に世間を見てみると、悪い相性なのに仲の良い夫婦や親子、友達になっている人がたくさんいます。しかしこの原理が間違っているわけではありません。
感想としては、この相性原理の通りになっている人は良く言えば純粋、悪く言えば我がままな人達が多いように思えます。相剋関係なのに上手くいっている人達は己を知り相手を尊重し合った高度な人間関係を築いています。
臓腑も我々の不摂生によってアンバランスとなり相剋関係が生じるのであって、健康なら相剋同士が良い緊張関係を保って互いに生命を維持しているのです。
HONDAが世界企業になった背景には、藤沢武夫という創始者本田宗一郎とは異質の参謀がいました。
彼は「一番高度な人間関係は友情」 と言っていました。
親子関係が無条件に好相性なのは当たり前のことですが、他人との好相性は相剋の上で成り立つものです。
私たちは人付き合いと言うとどうしても癒しのある関係を求めてしまいますが、そこにあるのは落ち着きだけです。油断すれば相剋関係となりやすい異質の相手と上手くやることが発展の絶対条件といえるのでしょう。


第73回香肌文庫 2012.3.1

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