香肌文庫 第59回 健康を装う
東洋医学は根本治療と言われています。表面に出ている枝葉の症状に直接施術するのではなく、根本を施術することにより枝葉に影響を及ぼすというものです。ただ、これは漢方薬にはあてはまりますが、鍼灸治療は少し違います。症状を直接対象にしないという点は同じですが、鍼灸の場合体の表面にある経絡という流れに施術することにより根本に影響を与えます。つまり表面から深部に影響を及ぼすのです。例えば美容整形をしたことで気分も明るくなり人生が変わったという人をTVなどで見ます。美容整形が良いか悪いかは別として、これも表面から内部に影響を及ぼすという点で方向は同じかもしれません。
そこでですが、健康になりたいという人も形から入ってみてはいかがでしょうか？
健康になる方法については様々な方法や商品が氾濫していますがどれもなかなか出来ません。とりあえず健康な人を装ってみましょう。 その前に健康な人ってどんな人なのでしょうか？
酒を毎日飲んでいても健康な人、タバコを吸おうが睡眠が少なかろうが健康な人、逆にすごく体に気をつかっているのにすぐれない人…
多くの方と接してきて分かったことは、健康な人はそれぞれ異なった生活態度ではあるものの、以下の三つは共通しています。
1. 背すじが伸びている。 2.声が明瞭。 3.よく笑う。
この三つです。これをマネすればいいのです。一つだけ実行して下さい。背すじを伸ばせば声も明瞭になりますし、よく笑えば背すじも伸びます。鍼灸治療と同じで三つの症状も一つの治療で全部に影響します。むしろ三つ全部やろうとすれば失敗します。やりやすいのを一つだけ実行して下さい。
社長らしい人が社長になるのではなく、社長椅子に座ればだんだん社長らしくなっていくものです。まずは形からです。本当の健康になれば、少々体によくないことをしていても自然に離れていきますし、やったとしてもあまり害されません。健康とはそういうものです。「健康を装う」本年の課題にいかがですか。
第59回香肌文庫 2011.1.1
