香肌文庫 第57回 裏を返せば…
当院では赤ちゃんから小学生くらいの子を対象に小児鍼を行っています。(詳しくはこちら)「うちの子は他の子より何事も遅れてて…」こんなことを心配するお母さんも結構みえます。そんな時は「そういう子は一度覚えてしまえば絶対に忘れないし、応用能力がありますよ。」と教えてあげます。何を根拠に言っているのかというと、病もすぐに楽になる症状は再発しやすいが、時間をかけて治った症状は再発しにくいといった臨床的事実があるからです。香肌治療院は鍼灸院なので鍼灸の世界から何事も考証しております。
健康で明るいということは全ての子供に共通の理想の姿ですが、やはり個性というものがあります。
「物覚えが遅い…」「ごめんなさいが言えない…」「人見知りをする…」「生意気…」これらの事で子供の先々に不安に感じてしまうかも知れませんが物事には陰陽があります。裏を返せば悪いことばかりではありません。
・物覚えが遅い = 覚えると応用能力を発揮。
・ごめんなさいが言えない = 不正が大嫌い。
・人見知りをする = 心から人と付き合う。本当の親友を作る
・生意気 = 目下を可愛がる
もちろん最低限の礼儀や素直さは教えなくてはなりませんが、ただ躾けようとするだけで裏に潜む長所を見落としてはもったいないです。
最後にもう十年以上前になりますが、鍼灸学校の恩師であり有名な易学者でもある故小林三剛先生の講義を思い出したので紹介します。
『子供はみんな車種が違う。乗用車としての能力を持つ子、トラクターの能力を持つ子、スポーツカーの子、
タクシーの子…。 トラクターとして優れた能力のある子に乗用車やスポーツカーになりなさいといっても
可愛そうであり、自信を失わせ場合によってはひねくれてしまう。その子の車種(長所)を知り、それを最大限
生かしてあげることです。』
第57回香肌文庫 2010.11.1