香肌文庫 第52回 三という数
古代中国では地上の森羅万象は全て三つの働きにより作られ、それにより作られたものも三つの側面を持っていると考えました。この考えを「三才」とか「天人地」と言います。「天気下降して 地気上昇する 天地交わりて人気生じる」とされ、人気とは人間を含めた地上に存在するもの全てを指しています。我々は三段階の働きにより作られ、三という数で成り立っているということです。
まずは腕をよく見てください。肩・肘・手首の三関節、さらに指の関節も三節となっています。脚も同じく股・膝・足首と三関節です。皮膚の構造も表皮・真皮・皮下組織と三層ですし、胃の壁も三層構造となっています。他にも消化・吸収・排泄の三段階、内耳・中耳・外耳など、どこを取っても三段階です。そういえばDNAもTCA、CTA、ATGなど三つの塩基の組み合わせから成り立っています。
鍼灸治療でも三陰三陽と言ってツボや病の深さを三段階で捉えたり、病の位置を上焦・中焦・下焦と分けて考えます。また上中下の代謝が滞るものを三焦の病として治療します。
さらに三は変化を生み出す数でもあります。ホップ・ステップ・ジャンプです。例えば事業でも起こしてから三年目が正念場と言われますし、ミュージシャンも三枚目のアルバムに今後の明暗がかかるそうです。三段目を乗り切ると道が開けるのです。まさに私たちは三という数に支配されていると言えます。
三度目の正直、三日坊主、三年目の浮気…全て宇宙の法則?魔の三に負けないで下さい。
第52回香肌文庫 2010.6.1