香肌文庫 第50回 ツボの表裏
東洋医学の古い文献に「治療は陰陽の調整」とあります。この陰陽を具体的に挙げると無限に近い数になってしまうのですが、分かりやすい例を一つだけ紹介します。陰陽と聞くと何か難しく感じるので「表と裏」と考えてください。例えばお腹(裏)が痛いときに背中(表)を押してもらったりさすってもらうと痛みが楽になったという経験をされた方は多いのではないでしょうか。鍼灸治療でもこの表裏の法則を使うことがよくあります。頭の頂上に百会というツボがありますが、百会は昔から痔(脱肛)によく効くツボで有名であり、肛門と頭頂部はまさに裏表です。後頭部には玉枕という眼精疲労に使うツボがあり、これも同じ高さの反対側に眼があります。その他咽喉の痛みを後頚部のツボを使って治したり、胸の痛みを同じ高さにある背中のツボで治したりします。また表裏ではありませんが「巨刺」といって痛みを左右反対側で取る方法もあります。例えば右足の捻挫を左足の同
部位に鍼をして痛みを和らげる方法です。表裏の法則は自然の法則なので鍼灸だけでなくあらゆることに応用できるはずです。元気のない御主人も奥様の治療が必要かも知れませんね。(冗)
第50回香肌文庫 2010.4.1