香肌文庫 第37回 五年目を迎えて~鍼灸伝説・後編
医療の主流は鍼灸等の東洋医学から西洋医学へと変わりましたが、それにより私達は多大な恩恵を受けたのも事実です。細菌学等の発展により多くの伝染病を克服し、救命率、平均寿命の増加は西洋医学の導入なしでは考えられません。今では西洋医学と言わずに現代医学と言います。
一方、明治政府の急速な西洋化政策により衰退していた鍼灸ですが、医療の主流から外されていたものの伝統的な技術は一部の有能な鍼灸師たちに受け継がれ研磋され、現代医学から見放された人、現代医学に馴染めない人の拠り所として地味に存在していました。
時代が進み、飛躍的な発展を遂げた現代医学にもその限界と弊害が叫ばれてきます。それは「病=やつけるもの」という考えの現代医学は「下痢はすぐに止めるもの」「熱はすぐ下げるもの」「病は叩くもの」「切り取るもの」など自然治癒力を無視、また動物実験や数値重視の個々の人間を無視した結果と言わざるをえません。そして現代医学の悲鳴に「病=治癒力の低下」を掲げる鍼灸へ助けを求めたのはGHQ時代日本から鍼灸の廃止を企てたアメリカでした。意外と思われるかも知れませんが、東洋医学と言っても現在では日本より欧米の
方が盛んに鍼灸を医療に取り入れているのです。アメリカでは全医療費で鍼灸等の代替医療の割合が25%を超えています。日本では5%未満です。またほとんどの医療保険会社が鍼灸を保険適用としています。理由として、高価な医薬品を使用するより鍼灸で治した方が治癒率も良く、結果として安価で支払額が減るからだそうです。また訴訟の多いアメリカでは医療過誤を恐れてリスクの低い鍼灸治療を行う医師が増加しているとのことです。日本でも近年東洋医学がクローズアップされてきましたが、欧米に比べるとまだまだ消極的です。
日本では医療費の増大が深刻な社会問題となっておりますが、さらなる鍼灸の普及がその解決策の一つになると信じております。なぜなら「病気になりにくい体を作る医療」「コストも低く環境にも優しい医療」だからです。鍼灸がもっと一般化して医療に取り入れられ、気持的にも金銭的にも安心して受けられる環境になるよう願い努力していきたいと思っております。
前回から続く私の愚痴にも聞こえる文章にお付き合い頂きありがとうございました。これを機に鍼灸というものを良い意味で見直して頂ければ幸いです。我々鍼灸師も日々勉学に励み、技術を磨き待機しております。
度々開催される世界鍼灸学会と欧米のツボの教科書
第37回香肌文庫 2008.11.1
一方、明治政府の急速な西洋化政策により衰退していた鍼灸ですが、医療の主流から外されていたものの伝統的な技術は一部の有能な鍼灸師たちに受け継がれ研磋され、現代医学から見放された人、現代医学に馴染めない人の拠り所として地味に存在していました。
時代が進み、飛躍的な発展を遂げた現代医学にもその限界と弊害が叫ばれてきます。それは「病=やつけるもの」という考えの現代医学は「下痢はすぐに止めるもの」「熱はすぐ下げるもの」「病は叩くもの」「切り取るもの」など自然治癒力を無視、また動物実験や数値重視の個々の人間を無視した結果と言わざるをえません。そして現代医学の悲鳴に「病=治癒力の低下」を掲げる鍼灸へ助けを求めたのはGHQ時代日本から鍼灸の廃止を企てたアメリカでした。意外と思われるかも知れませんが、東洋医学と言っても現在では日本より欧米の
方が盛んに鍼灸を医療に取り入れているのです。アメリカでは全医療費で鍼灸等の代替医療の割合が25%を超えています。日本では5%未満です。またほとんどの医療保険会社が鍼灸を保険適用としています。理由として、高価な医薬品を使用するより鍼灸で治した方が治癒率も良く、結果として安価で支払額が減るからだそうです。また訴訟の多いアメリカでは医療過誤を恐れてリスクの低い鍼灸治療を行う医師が増加しているとのことです。日本でも近年東洋医学がクローズアップされてきましたが、欧米に比べるとまだまだ消極的です。
日本では医療費の増大が深刻な社会問題となっておりますが、さらなる鍼灸の普及がその解決策の一つになると信じております。なぜなら「病気になりにくい体を作る医療」「コストも低く環境にも優しい医療」だからです。鍼灸がもっと一般化して医療に取り入れられ、気持的にも金銭的にも安心して受けられる環境になるよう願い努力していきたいと思っております。
前回から続く私の愚痴にも聞こえる文章にお付き合い頂きありがとうございました。これを機に鍼灸というものを良い意味で見直して頂ければ幸いです。我々鍼灸師も日々勉学に励み、技術を磨き待機しております。
度々開催される世界鍼灸学会と欧米のツボの教科書
第37回香肌文庫 2008.11.1