第226回 薬指
手相学で薬指は芸術性や恋愛感情を表すとされています。つまり発達した薬指は芸術的感性があり、また恋愛感情も豊かということです。結婚指輪を薬指に付けるのも「もう他に恋心は持ちません！」という封印で孫悟空が頭に付けている緊箍児みたいなものです。ただ緊箍児ほどの効果はないようですね…。薬指が芸術や恋愛を表すことは、私たちにとって芸術や恋愛とは何か？を示唆しています。
他の四指をみると親指は自立性、人差指は積極性、中指は堅実性、小指は洞察力を表しており、この四指と比べて薬指の芸術や恋愛は人生を力強く生きていく上で無用の長物にも思えます。薬指自体も五指の中では最も使用頻度が少なく単独で使うことはほとんどありません。しかし、この薬指をなくしてしまうとなれば手としての機能をまったく果たせなくなってしまうのです。芸術や恋愛というものは生きていく上での「ゆとり」であり、無いと無味乾燥な人生となってしまいます。見方を変えれば車のハンドルやブレーキにある遊び部分ともいえ、無いと事故につながります。
抗生物質などの化学薬品は植物や鉱物、微生物などから炎症を抑える成分のみを抽出して作ります。その他の成分は雑成分として除いてしまいます。その方が効き目がシャープだからです。実はここに薬害の原因があります。なぜなら雑成分にこそ薬害を中和させる働きがあるからです。漢方薬など自然の生薬が体にやさしいのは精製されずに雑成分も全て含まれているからです。小麦粉のグルテンが悪いとされているのも精製されてしまうからで、全粒粉ならグルテンの害も中和されます。抗生物質は体内の善玉菌も悪玉菌も全てを殺傷してしまいますが、「殺されてたまるか」と善玉菌が逃れる場所があるそうです。その場所はなんとこれまで無用の長物とされてきた盲腸なのです。最近の研究で盲腸が大腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスを取っていることが分かってきました。役立たずに見えるものが全てのバランスを取っている、薬指とはよく名付けたものです。
さて今年も最後のブログとなりました。これからクリスマス、忘年会、正月、無くてもよいが無くてはならない行事かもしれません。たまには薬指の緊箍児も外しますか？責任は取りませんが…。
それでは良いお年を迎えてください。一年間ありがとうございました。
第226回香肌文庫 2024.12.1
