ハサミの真ん中には左右の刃をつなぐ軸があります。この軸が緩むとガタガタとして使えません。ハサミ以外の道具でも同じです。陸上の砲丸投げでも軸となる足元がしっかりしていないと競技になりません。中心の軸というものは最も大切な部分です。私たちの体ではこの中心軸はどこになるのでしょうか?それはお臍の下、下腹部です。下腹部の筋力が弱ると腰や背骨の曲がりなど姿勢が崩れます。猫背矯正バンドをいくらやっても下腹部がしっかりしていないと治りません。また姿勢だけでなく、生命力の強さもここで分かるのです。子供とお年寄りの下腹部を比べれば一目瞭然です。

さて、この下腹部には関元（かんげん）というツボがあります。私は体中のツボの中でもこの関元が最も重要なツボではないのかと考えています。ヨガや気功でもこの場所を丹田（たんでん）と呼んで中心とします。とくに武道をしている方々は下腹部に力を込める重要さがお分かりかと思います。関元のツボは様々な症状に使
いますが、養生灸として体力の弱った方に年齢の数だけお灸をすえる方法が昔から伝えられています。（そんなに数多くすえる必要はないと思いますが…）下腹部を強くするには激しいトレーニングなどしなくても腹式呼吸で充分かと思います。
それでは“下っ腹”に力いれてがんばりましょう!

第21回香肌文庫　2007年