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香肌文庫 第20回 中国鍼灸と日本鍼灸

足三里というツボがあります。数年前ある患者さんの足三里を自分の指感覚で探し当て鍼を刺そうとしたら、一緒にいた中国人鍼灸師に「足三里はもっと下ですよ」と指摘されたことがあります。これが日本鍼灸と中国鍼灸の違いです。どういうことかこれから説明します。
日本の鍼灸では、ツボというものは病になって初めて現われる反応点と考えます。そしてこの反応点はそのまま治療点となるため、自分の指の触覚を頼りにこの反応点であるツボを探します。一方、中国の鍼灸ではツボというものはいつもそこに常在しているものと考えているところがあります。このような認識の違いから治療も異なってきます。
まず日本鍼灸の場合ですと、同じツボでも人によってズレていたり、反応点を求めて治療するため同じ症状でも治療するツボが違って当然とします。かなりアナログ的でマニュアル化するのが難しいといえます。しかし熟練すればどんな症状でも臨機応変に対応できます。
中国鍼灸の場合ですとかなりデジタル化することが分かります。Aという症状にはBのツボといった具合にマニュアルが確立されており、鍼灸師同士で治療方法にあまり差がありません。しかしマニュアルにない症状には対応しにくく、診察よりも理論が先行してしまう傾向があります。

大変おおざっぱですが以上が両者の違いです。もちろん鍼灸は中国から伝わったものであり、伝来当初は両国にさほど違いはなかったことでしょう。
日本では指の触覚を唯一の頼りとする盲人鍼灸師の存在がかなり影響したことでしょうし、中国では国家レベルでの鍼灸研究により良い意味でも悪い意味でも画一的となったのでしょう。もちろん中国は広大ですからこれが全てではありませんし、日本でも中国鍼灸をやっている先生が多くみえます。
最後に治療に使う鍼ですが中国の鍼は太くて刺激も強めです。そして刺した際に感じる“響き”を重視します。
日本人は比較的刺激に敏感でソフトさを好む民族なのでしょうか、鍼は細く、なるべく痛くないように刺します。前回書いた管鍼法が一般的になるのも理解できます。

江蘇省中医院(南京)にて /平成8年頃

第20回香肌文庫 2007年

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