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香肌文庫 第205回 MY TSUBO

現代医学の主流はやはり西洋医学で、治り難い病を持つ人が鍼灸院に来ることはまだまだ少ないです。
もちろん鍼灸でもそのような病を治すのは簡単ではありません。しかし、その治療法は決して難しくはないのです。私も時々聞いたこともないような難しい病名の人に遭遇することがありますが、どんな病名の人が来ても決して戸惑うことはありません。すぐに治療開始できます。「すごいだろ!」と自慢したいところですが、残念ながら私がすごいのではありません。種あかしすると、鍼灸治療には病名など不要だからです。

治療の始めに脈診をしながら丹念にツボを探しますが、これは悪いところを探しているのではなく、良いところを探しています。つまり、ツボは患部に影響を及ぼすというよりは、生命力UPのスイッチです。
そして治り難い病にはこの個々に違う生命力のスイッチ、MY TSUBOに灸を据えるだけなのです。
我々の五臓はそれぞれが均等な力ではなく、肝がやや旺盛なタイプ、脾が旺盛なタイプというように主役になっている臓があります。この主役の臓を元気にするツボがその人のMY TSUBOとなっています。
例えば肺がんの方が来ても肺のツボに灸をするとは限らず、脾が主役のタイプなら脾臓のツボに灸をします。

私は最初、五臓は全て同じ力で揃っている状態が理想の健康体と思っていたのですが、よくよく陰陽論を勉強して、格差が無いのは死体と同じということが分かりました。エネルギーの発生と同じで、そこに格差や例外が入り込まないと生命が回旋しないのです。そして際だった主役を元気にすることが全体の生命力UPとなります。患部ばかり構っていると生命力が低下してしまう恐れもあります。
経済学の基本定理でも、直接弱者救済するのではなく、競争で発生した利益の不平等を再分配するのが効率的と証明されています。
最近は子供の教育でも短所や苦手分野を克服しようとするより、MY TSUBOとなっている長所や得意分野を伸ばす方が全体としてのスキルアップに繋がると言われ出しています。
現代医療は技術面は飛躍的に進んでいますが、発想はいつまで経っても変わりません。病気に直接的ではなく間接的に治すといった発想転換すれば新しい可能性がみえるのではないでしょうか。


 
第205回香肌文庫 2023.3.1

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