香肌文庫 第203回 神は細部に宿る
奈良へ時々足を延ばすのですが、数ある古刹の中でも薬師寺の美しさは印象的でした。その薬師寺にある東塔は創建当時の姿をそのまま残す平城京最古の建造物で、比類なきオーラ―を放っています。東塔がオーラを放つ理由はその建築技術の素晴らしさはさることながら、水煙と呼ばれる屋根の頂上に立つ火炎状の装飾金具にあります。なんとこの水煙には二十四の飛天(天女)が彫られているのです。地上の我々からはまったく見えないにもかかわらずです。西洋に「Gods in the details~神は細部に宿る」という諺がありますが、手抜きしても問題ないような目立たない部分を徹底してこそ神が宿り全体が輝くのです。
例えば、華麗なオーラを放つ女優は穴の空いた靴下や寄れた下着は絶対に付けていません。もちろん確認したことはありませんが絶対にそのはずです。美味い料理を出す店のお冷は冷たく、ぬるかったりカルキ臭くはありません。明るくて健康的な家族の住む家はトイレが綺麗です。豪邸で高価な家具やインテリアがあってもトイレの汚い家は住人にどことなく品がありません。神は細部に宿ります。
東洋医学では五臓に神気が宿るとしています。私たちの外見の美しさも外からは見えない五臓の状態で決まるのです。綺麗な髪は腎、美しい肌は肺、目力は心、潤って締りのある唇は脾の反映であると教えています。高価なシャンプーや化粧水よりも五臓を健康にすることで外見を美しくし、オーラが放たれます。
ご挨拶が後になってしまいましたが、明けましておめでとうございます。皆さま良いお正月を迎えられていることと思います。私はパンツを新品に取り換えて新年を迎えております。神は細部に宿りますからね。これで輝くようなオーラを放ち今年も皆さまをお待ちしています。2枚980円のオーラですけど…。
第203回香肌文庫 2023.1.1