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香肌文庫 第200回 先生が教えてくれたこと

鍼灸師になってちょうど30年が経とうとしています。
人は必ず望む所へ導かれるのですね。鍼灸師になってガンガン稼ぎたい!と願う人は商い上手な先生の所へ、東洋医学をとことん追求したいと願えば教授肌の先生の所へ、私の場合とにかく稼ぐよりも達人になってみたいという気持ちでこの世界にボケーッと身を置いていたわけですが、そんな私が流れ着いた所は杉山勲先生でした。言い方は適切でないかも知れませんが、カリスマ的指導者ではなく野武士のような指導者です。
鍼灸に限らずどの世界でも言えることですが、本物のやることは至ってシンプルです。正しい診察、正しいツボ選択、正しい刺し方、杉山先生の治療はこれに尽きます。しかし、これを正しく行うことがどれだけ難しく、出来ない鍼灸師がどれだけ多いことか。
「お偉い先生方はバカだよ、難しい話ばかりして、この三つ以外に何があるのか?」
杉山先生はこの三つを正しく行うために万巻の古典を読み、臨床実試を繰り返しました。

そして、杉山先生は私に脈診という第三の眼を授けてくれました。
難し過ぎる故に形骸化してしまったこれまでの脈診と違い、杉山先生が行う脈診は野武士さながらリアルで、ツボを押さえながら脈を診るというという画期的な脈診です。診察という問題を解いてからツボ選択という答えを出すのではなく、答えを出してから問題を解くのです。ここぞというツボに触れると、弛んでいた弦がピシっと張るように脈は変化します。「このツボはどうだ?」「いや違う、もう少し上だ」「おおそこだ!そこへ打ってくれ」術者の指先と患者の体との無言の会話です。個々に違うツボの位置、ツボのど真ん中、刺す方向、病態、体質… 鍼灸の極意である「不問診察」はこの脈診法だからこそ出来ることです。

今年の春、杉山先生は天国へ旅立たれました。「私の体はガンになってしまったけど、心はガンではないよ」
最新の現代医学療法を拒否し、お灸という最古の療法を信じました。医師の余命宣告を遥かに凌駕し、最後まで患者さんの治療を続けられ、穏やかにこの世を去りました。東洋医学の素晴らしさ、長さより良質の生き方
を身を持って私たちに教えてくれたかのようです。

さて、この香肌文庫も200回となりました。8年前の第100回は「鍼灸すれば幸せになれる」というタイトルで私から鍼灸への感謝を述べました。奇しくも200回目はその鍼灸を教えてくれた亡き師匠への感謝となってしまいました。
そして言うまでもなく、ここまで続けて来られたのもご利用して頂く皆さまのおかげです。
手前味噌な言い方になってしまいますが、杉山先生から受け継いだ核心を突く鍼灸施術をこんな片隅で受けられる不思議さと貴重さをどうぞ大いに感じてください。これからもよろしくお願いいたします。



第200回香肌文庫 2022.10.1

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