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香肌文庫 第19回 日本流鍼の祖 杉山和一

鍼治療がほとんど痛くないのは鍼を刺入する際に使う鍼管があるためです。鍼よりも少し短く出来ており、この中に鍼を入れて皮膚に密着し、管の上から少し出た鍼をトントンと指で打つように刺します。鍼管を皮膚にピタリと密着することにより、刺す部位の皮膚が広げられるため痛みが感じにくくなります。また細い鍼も曲げずに刺しやすいのです。この方法を管鍼法というのですが、これは日本独自のもので、鍼灸の本家である中国や韓国でも見られません。この管鍼法を生み出したのは杉山和一という江戸時代の人です。

和一は1610年伊勢国(三重県津市)に生まれました。藩士の家の長男でしたが、伝染病のため幼くして失明。弟に家督を譲り、単身で鍼の修行に江戸へ出ます。しかし和一は不器用なうえ鈍間で物忘れがひどく、師匠のもとを破門されます。絶望の危機に立たされた和一は帰路の途中、江ノ島の弁財天の祠で7日間の断食祈願をします。祈願を終え、衰弱した体で山を降りる際、石につまづき転倒してしまうのですが、転んだ際に手元に落ちていたのが、竹の筒に入った松の葉でした。そしてこれをヒントに現在の日本流鍼ともいえる管鍼法を生み出したのです。
和一はその後五代将軍綱吉の病を治した功により出世し、後に総検校(盲人が就く最高の官位)に任ぜられ、多くの門人を育てました。現在和一の宅地跡は江ノ島杉山神社(墨田区千歳)となっており、多くの参拝客が訪れます。
和一が管鍼法を考案できたのは偶然でしょうか、弁天様のご加護でしょうか。確実に言えることは、和一が鈍間で不器用だったからです。欠点は大きな可能性を秘めた素晴らしいものですね。

第19回香肌文庫 2007年

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