香肌文庫 第198回 火性
古代中国の五行論によると火の性質を持つものは、太陽、炎、熱、赤、血、目、苦味、心臓、笑い、称賛、昼間、南、夏などとしています。そして火性最大の作用は殺菌となっています。つまり先に列記した火性の象意は全て殺菌作用を持つのです。順番に見ていきますと、まず「太陽」や「炎」が殺菌作用を持つことは分かります。「発熱」もウイルスや菌を殺すための抵抗力であり殺菌です。「赤色」は古来より魔除けの色とされ、鳥居や鬼門封じなどに使われます。元々は動物の「血」で着色したそうです。「目」も魔除けの作用があり、蛇の目模様を畑に吊るして鳥を追い払ったり、トルコのナザール・ボンジュウのように魔除けの護符として用いられたりします。また邪視といって、相手を睨みつけると睨まれた相手は衰弱するとも言われています。
次に「苦味」ですが、これは薬の味です。良薬は口に苦しといいますが、薬というものは本来魔除けが起源で、苦味成分を持つ植物を主に用います。東洋医学ではストレスは「心臓」系統に負担をかけ、これを和らげるのには苦味が良いとしています。気疲れしたときにコーヒーやタバコなどを欲するのも体が苦味を求めているからです。つまり、ストレスに強く魔を寄せ付けない人は「心臓」が丈夫ということです。おそらく毛も生えていることでしょう。
そして「笑い」も最高の殺菌、邪気払いです。笑う門(者)には福来たるで、ガン予防や長寿のための邪気消毒剤です。「称賛」も同じで、人から褒められることで邪気が消え、人を褒めることで相手を消毒して邪から救ってあげることができます。「昼間」にはどういった殺菌作用があるのかといえば、だいたい犯罪は暗い場所や夜に起こります。犯罪や魔物は夜行性で、明るくなるといなくなります。「南」も昼と同じで、家相学や方位学によると、人は南に向かうと開放的になり陰謀が湧かなくなるとしています。
最後に「夏」ですが、この暑さは我々を消そうとしているとしか思えません…。
これには琥珀色の苦味で抵抗していきたいと思います。暑中お見舞い申し上げます。
第198回香肌文庫 2022.8.1