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香肌文庫 第196回 常と異~生命

人間味のある人とはどのようなタイプか考えてみると、「完璧でない人」と言えるのではないでしょうか。
ドジを踏む秀才、少々ズルイ常識人、感情的になる冷静な人…
美人も鼻だけがちょっと残念だったり、スリムなのに脚だけ太めといったほうがなぜか魅力的に見えます。
全て完璧に整った美人なんかは金の延べ棒を見ているようで温もりを感じません。

さて、東洋医学によると肝臓は木性で木の性質、肺は金性で金属の性質とされています。
解剖学的にみると金は水に沈むのに肺は上部にあり、木は水に浮くのに肝臓は下部にあります。この理由を鍼灸の聖典『難経』では「生命力を得ている」と説明しています。つまり「常とは異なる」のが生命力であると言うのです。これは冒頭に書いた人間味や美人感と同じことと言えるのではないでしょうか。

背中には内臓に影響を与えるツボが一列に並んであるのですが、肝臓と脾臓のツボは定式とは矛盾して順番が入れ替わっており不思議とされていました。しかし、その理由も「生命力を得ている」からであり、定式(常)通りだと死体と変わらないのです。「常」に「異」がクロスすることにより初めて命が宿るのです。生命の暗号であるDNAもATGCの配列などは小さな事で、構造が平行ではなくクロスしているということが最大の暗号であると私は思います。
易占いも大吉の卦というものは地山謙や地天泰のように大地の下に山があったり、大地の下に天があります。世にある例外や異例、欠点などは決してミステイクではなく、命を生む重要な息吹だったわけです。
クロスが解け、重い物は沈み、軽い物が浮くといった「常」だけの状態になったとき命は消え死に至ります。
  

第196回香肌文庫 2022.6.1

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