香肌文庫 第195回 蝶来たるとき花開く
当院は小児はりも行っています。「この子が最近ご飯をあまり食べてくれません。ちゃんと成長できるのか心配になります…」このようなお母さんがたまに見えます。しかし、ほとんどが心配無用です。こんなとき私はお母さんに「考えが逆さまですよ」と教えてあげます。食べたら大きくなれるのではなく、大きくなるときが来たら食べたくなるからです。
日々生活の中で私たちは原因と結果をあべこべにしている場合が多いことに気づきます。
例えば「あの人は努力したから優秀になれた」のではなく、もともと優秀な人は努力を厭いません。優秀だから努力できるわけです。天才とは努力を惜しまない人です。
コロナ騒動も今になって考えてみると、コロナのせいでパニックになったというよりも、人々がパニックになったせいでコロナ騒動となりました。
身内で相続争いが起こるのも遺産分配が原因ではありません。身内仲が不安定だったから取り合いが起こるのです。本当に仲良い関係なら争いにはなりません。戦争も同じですね。
結果と原因をひっくり返してみると、良い事があるから幸せなのではなく、幸せだから良き事が起こり、不幸なので悪しき事が起こるということが分かります。
良寛さまの詩に「蝶来たるとき花開く」とあります。開いた花に一方的に蝶が来るのではなく、蝶が来る頃なので花も開くと詠んでいます。良い季節となりました。
第195回香肌文庫 2022.5.1