0598-31-1809受付時間:AM9:00〜PM6:00 
休診日:木曜・日曜・祝日

香肌文庫 第185回 熱中症になって

我々が一定の体温を保っていられるのは余分な熱が常に外気へ発散されているからです。温度というものは高い方から低い方へ発散される、つまり36度という平均体温は絶妙であり、これ以上は高くならないだろうという外気温を想定し、その外気温より少し高めに設定されていたわけです。ところが最近は日本の夏でも体温を超えた40度近い気温になるため熱が発散できなくなり、熱中症が多発するようになったわけです。我々はまだバージョンアップ出来ていないと言えます。
私は草刈りなどの野良仕事をするのですが、夏になると必ず2~3回熱中症になります。倒れるまではいかないものの、ひどい場合は嘔吐、頭痛、炎天下で寒気が起こります。普段涼しい所で仕事をしているため炎天に慣れていないのと、休憩できないせっかちな性格が災いしているわけですが、毎年同じ失態を繰り返し、学習能力なしと家族に言われています。 そこで今回はこれまでの経験から少し学習してみたいと思います。

私は熱中症の自覚が起きると、冷房の効いた部屋や扇風機を強風にして体を冷ましていたのですが、却って頭痛や倦怠感がひどくなることが多くありました。氷で冷やしたり、冷えピタのようなものを使っても同様です。 どちらかといえば、少し涼しい木陰や弱い風に当たっている方が気分良く回復していくのです。また、事前予防のためにキンキンに冷やしたタオルを首に巻いて仕事をしたら、却って熱中症になりやすかったのでした。
一見何も間違ったことをしていないのに悪化してしまった理由は、冷やすことで体に籠った熱が発散されなかったためと思われます。鍼灸院には打撲や捻挫の痛みが中々取れないといった方が来るのですが、多くは冷やし過ぎです。炎症期が過ぎても冷湿布をいつまでも貼り続けているため、皮膚表面が冷たい蓋となり、熱が閉じ込められてしまうからです。赤ちゃんの高熱に冷やし過ぎがタブーなのも内部に熱を閉じ込めることで脳症を起こす恐れがあるからで同じ理由です。冒頭でも説明した通り、温度は高い方から低い方へ発散されるのですが、温度差があり過ぎると熱の発散吸収ができなくなってしまうということです。吸収は冷却とは違い、吸収は熱を奪ってくれますが、冷却は閉じ込めてしまう恐れがあります。 温めるのも同じで、例えば過度に熱い風呂に入ると毛根が閉じ、皮膚表面が熱くなるだけで体の深部までは温まりません。
鍼灸治療も熱い灸や痛い鍼は緊張し、心身が受け入れ拒否するため効果はありません。ソフトな刺激こそ心身も刺激を受け入れ、最高の効果を発揮します。
さて、夏も本番を迎えます。熱中症に気をつけ良い夏をお過ごしください。暑中お見舞い申し上げます。

第185回香肌文庫 2021.7.1

営業日カレンダー

× ×

お問い合わせフォーム

鍼灸専門カササギ堂

〒515-0073
三重県松阪市殿町1540-37
TEL 0598-31-1809