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香肌文庫 第184回 天罰の下らない生き方

鍼灸師に成りたての頃、あるクリニックに勤務していたのですが、そこの院長はガキ大将がそのまま医者になったような人で、待合室のお年寄りを背後から「ワアッ!」と脅かしたり、ケツ、ノドチンコ、クソといった医者らしからぬ言葉遣い、我がままな患者には「よそへ行け!」といった態度、今でこそセクハラと言われるような発言も日常茶飯事でした。しかし、不思議なことに患者からのクレームはほとんど無く、毎日多くの患者で混み合い、施設の規模もどんどん広がっていきました。
それは院長の人望のせいであると、話だけ聞いた人は思うことでしょう。しかし、毎日見ていた私から言わせてもらえばそれはちょっと違うのです。ではこの怪奇現象の正体は…?

答えは院長の働きっぷりにあるのです。この院長は早朝から往診、昼休みも往診、外来終了後も往診、一年を通して休みはほとんどなく、とにかく働きづめなのです。
酒の席で私に漏らした一言は今でも覚えています。「俺が楽をするとクリニックは絶対傾くよ」
この院長は分かっているのです。私も最近気がついたことなのですが、どうしたら天罰が下るのかは人それぞれで、この院長の場合は身を削って他者のために働けばこそ、やんちゃな態度でも許されるのです。しかし、手を抜いて道楽に走ろうものならやんちゃな態度に天罰が下り、クレームや訴訟も起こることでしょう。
反対に、そこまで一生懸命働かなくても保障されているような境遇の人は謙虚さが命であり、横柄な態度をしようものならすぐに天罰が下ります。
金儲け主義でも不思議と非難されない人は社会への還元を欠かしておらず、それをしなければ潰されます。
反対に庶民のヒーローとして慕われているような人は金儲けに走ると必ず天罰が下ります。

個人の場合だけでなく、民族として日本人は正直、謙虚、勤勉をモットーにしていれば運が良いのですが、そこから逸脱すると天罰が下ります。日本人は欧米のやり方や態度を真似るのが好きですが、外国人は許されても日本人には許されないことがあるのです。
天罰の下らない生き方、それは自分自身のミッションを知り、それを頑なに守ることであると思います。

第184回香肌文庫 2021.6.1

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