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香肌文庫 第183回 難キコトハ易ニ図レ

松阪の街は伊勢神宮に至る参宮街道沿いにあります。今年はコロナの影響で伊勢を訪れる人も少なくなっていますが、本来なら春のGWになると、全国から訪れる多くの参拝車が松阪を通り抜け伊勢へと向かいます。
現在は古い旧街道を通る必要はなくなり、近年出来たバイパスでスピーディーに行けてしまうのですが、渋滞の抜け道として旧街道を通って行く車もあります。今では困ったときの旧街道なのですが、このような新旧の二段構えは私たちの体にも存在しているのです。

鍼灸治療を簡単に説明すると、病は体にある十二の道路(経絡)のいずれかが渋滞して起こるとし、渋滞の原因となっている道路を見つけて解消させるということなのですが、病がこじれて渋滞がひどくなると、十二の道路とは別の脇道に病が輸送されるのです。この脇道を「奇経」と言います。この奇経があるおかげで体の交通麻痺を防いでくれるのです。つまり十二本の道路が新しいバイパス、奇経が旧街道の役割をしています。実際に奇経は十二道路の原形とされており、生まれてから最初に開通する道路と考えられています。
新旧の二段構えは現代医学でも確認されていることで、肝硬変で見られる胎児循環への回帰(側副循環路)や大脳でいう新皮質と旧皮質などが相当します。いずれも体が緊急事態のときに活躍してくれる旧街道です。

現代医療の主役は西洋医学となり、鍼灸など東洋医学は旧街道の役割となりましたが、強い薬や手術など西洋医学の攻撃的な治療を拒否し、東洋医学へ逃げ出す患者も増えてきています。しかし、西洋医学の祖とされる古代ギリシャのヒポクラテスは、外科的処置は最終手段で自然治癒を最も尊重していました。また、土地の性質や季節の変化が体調へ影響することを強調していたりと、意外にも東洋医学の考えと同じだったのです。

つまり、西洋医学から東洋医学への逃避は医療の原点回帰と言えます。

さて、今回のタイトル「難キコトハ易ニ図レ」この言葉は師匠から頂いたものです。幅広く解釈はできますが、私は「困ったら基本に戻れ」と解釈し座右の銘にしています。

第183回香肌文庫 2021.5.1

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