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香肌文庫 第175回 患者に学ぶ

鍼灸院はキックリ腰の患者さんがよく来院するのですが、強い痛みを我慢してやって来る姿はまるでペンギンの様です…。
そんなペンギン歩きを見ていた時、昔読んだあるスポーツトレーナーの記事を思い出したのですが、ペンギンのヨチヨチした歩きというのは非常に効率の良い歩き方なのだそうです。
ペンギンの歩き方は着地した足の方に体重をかけ、振り子のようにヨチヨチ歩いているように見えますが、実際はそうではなく、踏み出す方(遊脚側)に体重をかけ倒れ込むように進んでいるのです。
これは老人や赤ちゃんの歩き方とまったく同じで、限られた筋力で最大限効率の良い歩き方をしているのです。
言葉にするのは難しいのですが、私流に言えば、歩行の中で負担のかかる「静止」の部分を削り「動」のみで歩いているということではないかと思います。

年老いた親が息子や娘に「もっと足を挙げてしっかり歩かないとダメでしょ!」と愛のムチを打っている光景をよく目にしますが、お爺ちゃんお婆ちゃんにしてみれば最高に効率の良い歩き方をしているのであり、歩行の原点回帰と言えるのです。ボルトなどトップスプリンターたちの走り方も外からは見て分かりませんが、腰痛の患者やお年寄り、赤ちゃんの歩行と同じく、着地側の足ではなく、遊脚側に体重移動を素早く行うことによって最速の走りを生み出しています。
私たちの体は弱ると、無意識に少ない力で最大限の効率良い動きをするようになっているのです。
弱った老人の歩き方を若い人の歩き方に近づけようとするのはかえって危険なのではないでしょうか?
まだまだ残暑厳しく夏の疲れも出る頃です。私もペンギン歩きになりそうです…。

第175回香肌文庫 2020.9.1

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