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香肌文庫 第174回 殷周革命

占いの種類は多くありますが、東洋では易、西洋ではタロットが最高峰の存在となっています。易とタロットは同類の占いでもあり、他の占いと明らかに違うことは、結果の出し方に人間の知恵、知識がまったく入っておらず、偶然を頼りにするということなのです。一見おみくじのようなこの二つの占いが、最高峰の占術と位置づけされているのはどういった理由なのでしょうか?

古代中国の歴史に殷周革命と呼ばれる変化点がありました。これは政(まつりごと)を呪術で行う、つまり神に委ねていた殷の時代が滅び、人間が頭で考えて政を行うといった周の時代の到来です。これ以降中国では宗教や祭祀といったものは残っても、政治とは切り離されました。といっても3000年以上も前のことです。
日本で殷周革命のような変化点はどこにあったのかを考えると、中国よりはだいぶ後の縄文時代から弥生時代への変化点に相当するのではないでしょうか。縄文時代は呪術社会でした。人々も頭で考えるよりは感性を主体とした生活をしていました。出土品からも分かるように非常に芸術性の高い人々でもあります。異説では古代中国における殷の民と縄文人は同族と指摘する歴史家もいます。日本人の先祖崇拝などは殷の時代の風習そのものです。縄文から弥生への変化は同じ民族によるもの、新しい技術や文化を持った渡来人によるものと二通りの説はありますが、いずれにせよ神々に委ねる社会から人間中心の社会への変化点です。
違う言い方をすれば、殷周革命や縄文から弥生への変化は、感性人の時代から大脳人の時代への変化とも言えます。

医学の歴史での殷周革命は西洋医学の台頭よる東洋医学の後退です。日本では江戸末期から明治の時代です。
これも病気の治癒といったものを神、つまり自然治癒力に頼ることから、人間の外力で治すことへの変化です。鍼灸や漢方など東洋医学は経験医学と言われていますが、最初から人間の脳で考えて作られたものではありません。古代人の感性で分かったことであり、大脳人の時代に入り書物にまとめられていったのです。鍼灸が医学としてまとめ難いのもそれが理由で、大脳で考えられたものではなく、元々感性の術だからです。

それでは殷や縄文が周や弥生より文化的に劣っていたのかというと、決してそうではなく、前時代の文化をそのまま引き継いだ部分が多く、殷や縄文の方が高度だったのではないかと最近の研究では見直されています。
現代科学では解明できない鍼灸が数千年にわたり残っているのもその効果を無視できないからです。
冒頭で紹介した易やタロットも、手相やホロスコープのように目で見て頭で考えて答えを出すのではなく、人間の頭脳を超越したところから答えを導き出す故に最高峰とされているのではないでしょうか。

大脳人は便利で楽な生活を作り、戦争に強くなり、生命もコントロールしようとしています。さらにはAIといった超大脳人も誕生しています。 私たちは現代を感性人の時代よりも科学が進歩し、間違いも少なくなったと当たり前のように思っていますが、もしかしたら感性で生きていた昔の人の方が間違いは少なかったのではないかと想像しています。なぜなら感性は偶然と同じことであり、それは自然がもたらすものだからです。
感性は自然と直結しており、人間の頭と違って間違いはないからです。
昔の人が言ったこと、昔から今も続けられているといったことは宝です。理由など分からなくても素直に信用して損はありません。

お盆を迎え墓参りをされる方も多いと思います。ご先祖様は仏となり子孫を見守ってくれています。
間違ってもご先祖様は火葬されて炭素と窒素になられたなどと考えるのはやめましょうね。


第174回香肌文庫 2020.8.1

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