東洋医学を理解するために最も分かりやすい方法は現代医学の悪口を言うことです。もちろん現代医学の功績は計り知れないとは思っているのですが、東洋医学を分かりやすく理解するために敢えて現代医学の欠点を引き合いにして話を進めていきたいと思います。
現代医学の大きな失敗は何か？と考えると、それは人体及び病を各科、各系に分けてしまったことと言えます。
循環器系、消化器系、泌尿器系…、互いが仕切りを作り、それぞれは無関係としてしまったのです。
一方、「全器一能性」を唱える東洋医学には仕切りがありません。泌尿器系の弱りが循環器系の問題を引き起こすことや、消化器系は循環器系の余力に支えられるというように考えているのです。
どちらが正しいのか？難しく考えるまでもありません。この世のものは単独で存在しているものはなく、全てが相互関係で成り立っているではありませんか。機械の構造ですらそうです。

先日、ある男性から仕事が上手くいかなくて困っているといった相談を受けました。易占をしてみたところ、
風火家人(家を整えなさい)という卦を得ました。話を聞いてみると、仕事の悩みで家庭をないがしろにしていたことが分かりました。「家族サービスをします」と言って帰って行きましたが、おそらく仕事運も上向きになることでしょう。運勢というものも相互関係で成り立っているのです。財運を上げたいなら財運という科目だけにこだわっていてはいけません。そこには健康運、家庭運、恋愛運、相性、仕事、あらゆる運が相互に関与しているのです。
直接的ではなく間接的療法、これこそ東洋医学の神髄であり、現代医学の及ばないところであります。

第168回香肌文庫　2020.2.1