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香肌文庫 第167回 龍を見る

あけましておめでとうございます。タイトルを見て年明け早々頭がおかしくなったかと思われるかも知れませんが、前々からです。
さて、新年を迎え初詣をされる方も多いと思います。私の住む紀伊半島は古代信仰の場所が多く、熊野、伊勢、高野山等を代表にその他数々のスポットがあります。私も色々行ってみたりしたのですが、目立って多いのが巨石信仰です。巨石信仰は磐座と呼ばれ、古代日本の宗教であるアニミズム(自然崇拝)の一つです。

私は時々野良仕事をするのですが、春夏には蛇に驚かされることがあります。蛇が出る場所は石のある所や水辺が多く、稀に木に登っていることもあります。小さい頃にお年寄りから「蛇は神様の使いやでイジメたらあかん、祟られる」と教えられたのを今でも忠実に守り、遭遇したら去ってくれるのを静かに待ちます。
そんな野良仕事の最中、「もしかしたら巨石は龍の休憩場所なのでは?」と閃いたときがありました。
なぜなら先に書いた巨石信仰の場所には、どういうわけか龍神や蛇神信仰の影がちらつくからなのです。
例えば夫婦岩で有名な伊勢二見の興玉神社は沖合の興玉神石という岩を崇拝するのですが、この神社は蛇の大好物であるカエルの像がいたる所に祀られています。近くには龍宮社も祀られています。また、日本最古と言われる奈良の大神神社は三輪山を御神体として祀られているのですが、三輪山の山頂には磐座があることが知られています。そして大神神社の祭神である大物主神は白蛇神という伝説があり、神前には蛇の好物である卵が供えられているのです。ここも近くに龍神を祀った社があります。さらに面白いのは二見の興玉神石も三輪山の磐座も朝日が昇る方向に向けられているのですが、龍は東方の守護神(青龍)とされているのです。
蛇神と龍神は別々の神と考えるのではなく、同じ神を古代日本では蛇神とし、後に大陸から龍という見方が伝わり、混在しているのではないかと思います。

私が思うに、古代人は単に岩石を拝んでいたのではありません。蛇が石のある場所を好むように龍が巨石に降りるのを見て、龍神として崇めたに違いありません。また、巨石だけでなく樹齢千年とかの巨木を神木として崇めている神社も多く見られますが、これも龍が降りる所ではないでしょうか。近所にある神社の大木に龍が巻いているのを見た人が宝くじに高額当選したという話も聞いたことがあります。龍の姿は怖いイメージですが、どうやらツキをもたらしてくれるようです。

古代人は現代人には消失してしまった霊的能力があったはずです。ただの空想上のものをここまで畏敬の念で崇拝するわけがありません。私は龍という目には見えない霊体のようなものが本当に存在するのではないかと思っています。 実際に龍が見えるという人に会ったこともあります。また、龍は普通の人間には見えませんが、時に龍雲となって存在を表すそうです。
東洋医学では目に見えない気の働きが形を作るとします。ですから現代医学のように病巣を切り取るだけでは病気を治したことにならないと考えます。そこに気の働きがある限りまた形を成すのです。龍の姿をした雲が現れるのはそこに龍という見えない気、霊体があるからです。
私は凡人なので目で龍を見たことはありません。しかし龍を心で見ています。一筋の雲を見つけては「龍神さまが泳いでいるなあ~」巨石や巨木を見ては「龍神さまがお休みしているかなあ~」と思いを馳せ手を振ります。

2020年代はAIが人間を支配するなどと世間が脅してきます。確かに目に見えるものだけを相手に生きていくならAIロボットの方がマシになるのでしょう。しかし、見えない何かを畏れ、見えない何かを敬う心はAIには到底真似できません。ここらでAIなど尻目にして、龍はいることにしましょうよ!
謹賀新年、皆さまに龍神さまのご加護がありますように。

第167回香肌文庫 2020.1.1

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