テレビの影響でしょうか。ちょっとした占いブームのようです。私も鍼灸師という職業上、易学をはじめとする東洋の運命学に興味を持ち、勉強してきました。
「家相の悪い家に住むと病気になる」とか「凶の方角に行くと災いがある」など言いますが、案外これが当たっているのです。しかし、色々と観察していて気づいたのですが、住む家や方角が悪かったから災いが起きたというよりは、その人の運気が低下しているから悪い家に住むこととなってしまったり、凶の方角へ出かけてしまうようなのです。運気の強い人を見ていると、占いなど知らなくても良い家に住んでいたり、悪い方角に行く用事がありません。不思議ですが本当にそうなっています。仮に凶方位に行ったとしてもさほど影響を受けません。

さて、占いの話はともかく、病気についても同じことが言えるのです。「お腹をこわしたのは暴飲暴食をしたからだ。」という方がいます。しかし真の原因はなぜ暴飲暴食をしてしまうのか?　ということです。たぶん嫌なことがあってストレスがあったのでしょうが、既にバランスが乱れているため暴飲暴食をしてしまうのです。東洋医学では脾が亢進すると暴食してしまうと考えます。子供でも淋しさなどのストレスがあるとやたらに甘いお菓子を欲しがります。虫歯の原因をお菓子の食べすぎと叱る前に、なぜ甘いものを欲するのか考える必要があります。
これから流行る風邪もそうです。ウイルスに感染したから発症するのではなく、抵抗力が落ちているから、つまり病気だから感染してしまうのです。

第15回香肌文庫　2006年