香肌文庫 第153回 「はじめに言葉ありき」
当院では逆子・安産のお灸を行っているのですが、希望する方には赤ちゃんの名付けについて姓名判断によるアドバイスをしてあげています。鍼灸とはまったく関係なさそうですが、姓名判断も鍼灸医学も同じ陰陽五行論から成り立っているのです。
これまで多くの方の姓名判断を行ってきた感想として、「名前で全て人生が決まるとは思えないが、運を左右する一要素になる」と実感しています。将来を担ってくれる大事な宝ですから、できるだけ良い名前を付けてあげて欲しいと思います。
例えば会社で新しいプロジェクトを始める場合でも、最初に良いタイトル名を付けておくと、良い名前に引っ張られて計画がトントン拍子に進みます。良い名前を付けると追い風が吹くのです。
ところで、最近セクハラ、パワハラが深刻な問題になっていますが、なぜこのようになったか分かりますか?
それはセクハラ、パワハラという言葉が出来たからなのです。セクハラ、パワハラをする人間が増えたから言葉が出来たのではありません。人間の行動や本質というものは今も昔もそれほど変わりませんが、名称をつけたことで世間が意識し、厳しくしたため該当者が増え、深刻化してしまったのです。もちろんそれで救われた人もいるので否定はできませんが、非常に神経を使わなければならない社会となりました。
病気も同じようなところがあります。昔にはなかったような病名が増えていますが、現代人が弱くなったことや新しいウイルスが増えたというだけでなく、やたらと様々な症状を断片的にとりあげ、各々に病名を付けていったきらいがあります。つまり新しい病気が増えたせいで病名が増えたのではなく、病名を増やしたせいで病気が増えたように錯覚するのです。鍼灸など東洋医学は症状を縦に深浅で捉えるため、新しい病名は増えません。
また、病名の響きも問題です。代表的なのが「ガン」です。何て嫌な響きでしょう。決してガンを侮っているわけではありませんが、せめてガンという名前をやめて、もっと柔らかい名前を付ければそれだけで生存率も良くなると思うのですが…。
高齢者のガンなども二~三人に一人と言われるくらいで、病気というよりも老化現象として意識した方がよい気もします。ガンは本質以上に我々が騒ぎ立て恐ろしくしてしまったのではないでしょうか。
そして「高齢者」とか「後期高齢者」とかいう言葉で括るのも問題です。まだまだ元気な人が「俺も高齢者なのか…」と意識してしまい、言葉のせいで本当に老化を加速してしまいます。65才以上は高齢者、75才以上は後期高齢者というのは行政上の整理で、生理ではありません。
名前や言葉の力って強力ですね。生きるスイッチも死のスイッチも言葉次第です。
「はじめに言葉ありき」とは聖書の中の有名な一節です。万物は神の発する言葉より作られていき、また言葉は神である。なるほど、分かる気がしますね。
第153回香肌文庫 2018.11.1
これまで多くの方の姓名判断を行ってきた感想として、「名前で全て人生が決まるとは思えないが、運を左右する一要素になる」と実感しています。将来を担ってくれる大事な宝ですから、できるだけ良い名前を付けてあげて欲しいと思います。
例えば会社で新しいプロジェクトを始める場合でも、最初に良いタイトル名を付けておくと、良い名前に引っ張られて計画がトントン拍子に進みます。良い名前を付けると追い風が吹くのです。
ところで、最近セクハラ、パワハラが深刻な問題になっていますが、なぜこのようになったか分かりますか?
それはセクハラ、パワハラという言葉が出来たからなのです。セクハラ、パワハラをする人間が増えたから言葉が出来たのではありません。人間の行動や本質というものは今も昔もそれほど変わりませんが、名称をつけたことで世間が意識し、厳しくしたため該当者が増え、深刻化してしまったのです。もちろんそれで救われた人もいるので否定はできませんが、非常に神経を使わなければならない社会となりました。
病気も同じようなところがあります。昔にはなかったような病名が増えていますが、現代人が弱くなったことや新しいウイルスが増えたというだけでなく、やたらと様々な症状を断片的にとりあげ、各々に病名を付けていったきらいがあります。つまり新しい病気が増えたせいで病名が増えたのではなく、病名を増やしたせいで病気が増えたように錯覚するのです。鍼灸など東洋医学は症状を縦に深浅で捉えるため、新しい病名は増えません。
また、病名の響きも問題です。代表的なのが「ガン」です。何て嫌な響きでしょう。決してガンを侮っているわけではありませんが、せめてガンという名前をやめて、もっと柔らかい名前を付ければそれだけで生存率も良くなると思うのですが…。
高齢者のガンなども二~三人に一人と言われるくらいで、病気というよりも老化現象として意識した方がよい気もします。ガンは本質以上に我々が騒ぎ立て恐ろしくしてしまったのではないでしょうか。
そして「高齢者」とか「後期高齢者」とかいう言葉で括るのも問題です。まだまだ元気な人が「俺も高齢者なのか…」と意識してしまい、言葉のせいで本当に老化を加速してしまいます。65才以上は高齢者、75才以上は後期高齢者というのは行政上の整理で、生理ではありません。
名前や言葉の力って強力ですね。生きるスイッチも死のスイッチも言葉次第です。
「はじめに言葉ありき」とは聖書の中の有名な一節です。万物は神の発する言葉より作られていき、また言葉は神である。なるほど、分かる気がしますね。
第153回香肌文庫 2018.11.1