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香肌文庫 第139回 母を補う

おねしょを治す目的で小児鍼を受けに来る子供がいます。確かに小児鍼はおねしょに対して有効なのですが、私が最初に行うことは、おねしょの子供を連れてくる母親を治療することから始めます。といっても母親に鍼灸をするわけではなく、子供のおねしょに対して「焦らず、楽観的な対応」をするようにお願いするのです。
おねしょの治り難い子供は共通して親が早く治そうと焦っていたり、お漏らしに対して厳しい態度を取っている場合が多いのです。そして、このような親の態度を改めることによって驚くほど好転するのです。
病というものは新しく発症したものを治療することで、元々ある古い痼疾した病も表面に浮いてきて治りやすくなります。つまり、子供のおねしょで悩んでいるという家庭において、最も優先して治療しなければならないのは親の方なのです。神経質になって焦る親の症状が最も新しい病だからです。
病は「気」ですから個体を離れて進行する場合があるのです。
登校拒否の子供を持つ家庭でも、問題解決したという話のほとんどが「親である私が変わったときでした」と異口同音に言われるそうです。「学校に行くのが正しい」という押しつけをやめたとたん変化が起きたそうです。

鍼灸治療や四柱推命という占術には「虚せば母を補う」という理論があります。この母というのは母親だけを指すのではなく、生じてくれるもの全てを指します。難しい話なので詳細な説明は省きますが、自分自身の病や不運の原因が母にあたる気の不足であるとし、母の力を持つツボを治療したり、母の気にあたるものを取り入れたりして運気をよくする方法です。鍼灸では「母穴」、四柱推命では「印星」といいます。
例えば火の母は木となっています。火力は親である木が不足していたり湿っていたりすると弱くなってしまいます。

話は飛びますが、これまで単なる消化器官と考えられていた腸が、脳と密接に関わっていることが最近分かってきたそうです。腸は脳の影響を受け、腸もまた大脳に影響を及ぼすそうです。お互い遠く離れた、まったく別系統の器官にもかかわらずです。
しかし、これは何も不思議なことではありません。なぜなら脳と腸の姿形はそっくりだからです。姿形の似ているものは同じ「気」を持ち繋がっているのです。第84回「同形同気」
メンデル、DNAといった小さな話はさておき、親子というものは繋がり助け合えるようにと、神様が姿形を似せて造ってくれるのだと私は思っています。

第139回香肌文庫 2017.9.1

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