香肌文庫 第119回 赤と黒
新年なので「赤と白」にしたいところですが、「赤と黒」のお話です。赤の反対は何色ですか?と質問すればほとんどの人が白と答えるのではないでしょうか。
しかし色の持つ性質として赤の反対は黒が正解なのです。
東洋の五行思想では赤は火性、黒は水性として対中に配置されています。火性の性質は炎であり、速く激しく短い、水性の性質は水であり、徐々に静かに"しぶとく"です。
鍼灸で使うツボも五行的な性質を持っており、火性と水性のツボはそれぞれ火穴、水穴と呼びます。
そして驚嘆すべき事に、鍼の刺し方もそれぞれの性質に応じると効果抜群なのです。
火穴は速刺速抜と言って、刺したら留めないですぐに抜きます。長く刺していると脈や呼吸が崩れることが分かります。水穴の場合は刺してから暫らく留めます。すると徐々に脈や呼吸が整ってくるのです。
臓器では火性が心臓、水性が腎臓とされているのですが、確かに心臓は激しく働き、腎臓はひっそり働くという感じです。また、現代は心臓の停止をもって臨終としますが、心臓停止後に腎臓を取り出して移植できることからも腎臓の方はまだ生きていることが分かります。臓器も水性の方が"しぶとい"のです。
同じ家電でもデザインが赤系より黒系の方が丈夫で壊れにくかった経験がありますが、私だけでしょうか?
私達も肌の色が浅黒い人の方が健康な傾向があります。車も赤色は退色しやすいですが、黒色は色落ちも少なく値落ちも少ないです。心理的にも黒い服は飽きが来ませんが、赤い服は華やかでも飽きやすい傾向があります。
赤い服と言えば、今年の大河ドラマは「真田幸村」ですね。幸村と言えば赤備えです。大阪の陣で具足を赤で全て統一した真田軍が現れると、徳川軍は矛先を突き付けられたような恐怖に陥ったのです。幸村は火の玉となり最期の突撃をして消えていきました。幸村の武勇と赤色の美事な調和です。鳥肌が立ってきます。
また真田家は多くの忍者を抱えていたそうですが、こちらは黒ですね。赤は相手を威嚇し、黒は不気味さを与える効果があります。
さあ、新年を迎え、今年は皆さんどちらのカラーでいきますか?私はもちろん黒を望みますよ。帳簿の話!
第119回香肌文庫 2016.1.2