香肌文庫 第115回 陰気に当たる
涼しさを感じる季節になりました。この夏の猛暑では熱中症になられた方が過去最多だそうです。しかし光あれば影あり、ニュースの裏では報道されない冷房病というものも多く存在したはずです。
当院にも冷房が効いた講演会場で数時間居たために具合が悪くなったという方が見えました。鍼灸院には「冷え性で困っています」という患者さんが割合多くみえるのですが、この方の場合は単なる冷えの治療とは違いました。「霊症」になっていたのです。「冷症」の間違いではありません。
霊症という表現や治療法は私が考えたのではなく、臨床経験豊富な師匠から教わりました。師はお葬式や病人のお見舞いに行った後に体の不調を訴える人がいることに着目し、これらの人には共通した特定のツボに反応が出ていることを発見されました。 お葬式や病院は「陰の気」が強い所であり、体力が低下していると陰気にやられてしまうのでしょう。そして今回の冷房で不調になったという方もまさに霊症のツボに反応があったのです。これは会場に幽霊がいたとかではなく、冷房という陰気が禍したと考えられます。
私が過去に治療した霊症では、日の出を見るため夜中に海へ行った、重症患者を見舞った、残忍な動画を見てしまった、といった方々でした。長年押入れにしまわれていた服を着たために肩が凝ったという臨床報告も聞いたことがあります。これも陰気です。太陽に干してから着ると良かったのでしょう。
霊症の症状は人によって違いますが、後頚部の痛みや凝り、寒気が抜けない等を訴えています。
私も以前、博物館の帰りに後頚部の凝りと軽い耳の痛みが起こったのですが、すぐに霊証だなと分かりました。その博物館は暗い部屋におびただしい数の動物の剥製が陳列されておりすごく陰の気が強い場所だったからです。霊症は霊感の有無とは次元の違うことで、体力が低下している時に強い陰気に当れば誰にでも起こり得ます。大抵は放っておいても自然に治ってしまうものと思われます。私の場合、霊症かな?と思った時は神社へ行って鈴を思いっきり鳴らしたり、太鼓の音に近ずくと陰気が取れる感じがします。
祭りや花火は疫病の流行などを防ぐために始まったとも言われていますが、陰気を払う効果として絶大だと思います。
第115回香肌文庫 2015.9.1