香肌文庫 第2回 病の起承転結
「風邪で発熱したので病院で注射したらすぐ治った。」という人がいますが、よく見ていると熱を急に下げたためにいつまでも咳込んでいたり、鼻汁をグスグスしています。これは決して治ったとは言えません。起承転結の流れに逆らったために起きる悲劇と言えます。薬や注射を使わないとつらい症状はすぐには消えませんが、治った後がスッキリしています。また免疫力もできます。
これらのことから考えると、鍼灸治療のように免疫力を高める治療法は、例えば風邪の引き始めに治療をすれば症状は悪化(本当は治るための現象)することが分かります。逆に病が峠を越えた頃に治療をするとすぐに楽になります。これらのことを理解して頂かないと「鍼をしたら悪化した…」と勘違いしてしまいます。
鍼灸治療とは、病の起承転結をできるだけ苦痛を少なく、最短で終わらせてあげることなのです。
具合が悪くても休んでいられない現代社会、どうしても症状を押さえ込む薬に頼りがちですが、自分自身の免疫力を鈍らせないようにしたいものです。
第2回香肌文庫 2004年