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香肌文庫 第154回 寝地蔵さま

今年も残すところ一ヶ月となりました。私は初詣よりも年末に暮れ参りをするのがここ何年かの習慣になっています。大勢の人でごった返している初詣よりも空いていますし、新年になってから「今年もお願いします」と参拝しても年末に「来年もお願いします」と参拝しても同じではないかというちょっとひねくれた思いから始めたのですが、暮れ参りというものは中々気持ちが良いのです。人が少ないので神社の凜と張りつめた空気を感じますし、「今年も終わりだなあ」という黄昏の気分もまた良いのです。夕方に行けばいっそうです。関東に居た頃は毎年成田山に参拝していたのですが、松阪に帰ってからは伊勢神宮に参拝しています。

伊勢の外宮に行くと、別宮の多賀宮に続く参道に一か所飛び出している石があるのですが、この石はお地蔵さんが寝ている姿に見えることから寝地蔵さまと呼ばれています。とは言え知らない人がほとんどで、特に祀られているわけでもありません。ただの石と思って踏みつけて行く人もいます。神殿も賽銭箱もありませんが、ひっそりと地面に寝そべり、通り行く人々を静かに見守ってくれています。まるで気付かれるのをためらっているかのようです。
お地蔵さまは仏の位では菩薩と言い、如来の次に偉いとされています。しかし観音さまなど他の菩薩がきらびやかな冠や装飾倶を身に着けているのに対し、お地蔵さまだけは装飾倶を着けず、坊主頭に袈裟をまとい、出家僧の格好をしています。その理由は、お地蔵さまは仏さまの住む極楽へ行くのをやめてこの世に留まり、私たちの苦難を代わりに受けてあげようと決められたからなのです。
外宮の寝地蔵さんは不思議なことに、参道を造成した時にはその姿は無く、知らない間にひっそりと土中から現れてきたそうです。

東洋医学の古典に「中工は巳病を治し上工は未病を治す」とあります。工とは医者のことを指し「中級の医者は苦しみから救ってくれる、上級の医者は何もなかったかのように救ってくれる」と解釈できます。
寝地蔵さまはとりわけ上工ですね。おっと、仏さまをランク付けしたら罰当たりでした。
私たちは苦痛から解放されることや喜び事には感謝できますが、何事も起こらないことは当たり前と思ってしまいます。何事もないことこそ上級の救い、きっとお地蔵さまが代わりに苦難を受けてくれるのですね。

今年最後の香肌文庫となりました。皆さま良いクリスマスとお正月を迎えてください。気が向いたら暮れ参りにも行ってみてくださいね。何もない素晴らしい一年でありますように。合掌。


2018.12.1

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