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香肌文庫 第97回 「ん?」

雪の日は利用者の方も少なく、本を開いて勉強する機会を与えられます。鍼灸の机上での勉強は古典が主となるのですが、大昔に書かれた内容ですから意味のよく分からないことや現代では使えそうにないことも多く含まれます。そんな玉石混淆の中から玉を見つけていくには推理小説を読むように「変だな?」「矛盾しているぞ」など「ん?」と思う部分にキラリと光る玉があるものです。鍼灸の勉強は考古学のように発掘と研磨を根気よくやっていかねばならないのです。
さて、待ちわびていた春がやって来ますが、春と秋の違いって考えたことありますか?春と秋は平均気温も太陽の位置もよく似ていますがもちろん同じではありません。春と秋はいったい何が違うのでしょうか?
答えは「春は寒の中に僅かな温があり、秋は温の中に僅かな寒がある」ということです。そして僅かにある温かさ、僅かにある寒さがそれぞれの特徴になっています。特徴とは僅かに顔を出しているものなのです。
例えば「部長は乱暴で人使いが荒いが優しいところがある」という場合と「部長は大変優しいのだが少し乱暴なところがある」という場合でも後者の方が悪いイメージを持ってしまいます。
これは言葉のトリックというよりも、持っている性質の中で含有率として希少なものが主となるということです。第67回「少>大」参照

これは鍼灸治療の症例です。
「仕事が忙しかったせいか三日前から腰が痛くて」「他に症状はありますか?」「特にありません。そう言えば少し下痢気味かな…」この患者さんはお腹の治療をして腰が楽になりました。臨床していて感じるのですが、明らかに主張する症状よりも「ついでに」付け足して言ったことが真の病である場合が本当に多いのです。色々と数多く訴える患者さんは反対に最初の一言が決め手になります。
また全然関係のない雑談の中に病の原因をキラリと発見することもよくあります。何気なく始まった雑談は神の声と言っても過言ではありません。
神の声とも言える「真のささやき」は大変遠回しで一瞬しかやって来ないものですが、どんな時でも必ずチラッとお告げがあります。意識しているとそれを「ん?」と察するのが敏感になってきます。
最後に「辻占」という真のささやきを聞く秘法を紹介します。 
もし、あなたが何かに迷うことがあったら、夕方に人通りのある交差点へ行って下さい。そこで聞こえてくる他人の会話の中に「ん?」と思う言葉が聞こえるでしょう。それが答えです。

第97回香肌文庫 2014.3.1

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