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香肌文庫 第93回 マイナスのすすめ

おかげ様をもちまして当院も今月で十年を迎えることができました。これまで支えて頂いた縁ある方々に感謝申し上げます。そうかと言って記念の催しをするような色気ある仕事でもございませんし、この稿で皆様の健康と幸せのヒントをプレゼントできたら幸いです。
さて、断捨離という開運法があります。不要な物を減らすことによってその執着から解放され、生活の調和をとるというものです。これは鍼灸治療でいう「潟法」にあたります。以前、鍼灸の手技は力を与える「補法」と余分な力を漏らす「潟法」との使い分けであると説明しましたが、(第16回補法と瀉法)苦痛を訴えて来院する患者のほとんどは潟法、つまり減らすことにより楽になっています。
「健康になるには?」と考えると、「何が足りないのか」「何を摂取しようか」と考えてしまいますが、「何を減らそうか」と考える方が現代人には必要です。世間には様々な栄養補助食品等が氾濫していますが、現代人は体に良いものを摂り入れるより、悪習慣を一つ減らす方が明らかに健康になれるのです。貧しくて食べるのも大変だった時代の健康法は「プラス」でしたが、現代の健康法は「マイナス」であるべきです。
減らすべき悪習慣も人それぞれですが、中でも目立つのが「甘味」の過剰摂取です。特に女性に目立ちます。生理痛、頭痛、便秘、ムクミ、ダルイ、腰の鈍痛、アレルギーなどは甘いお菓子を毎日摂っている人に多いことを実感しています。これらの症状は甘味の摂りすぎを止めるだけで軽減することが多いのです。ひどくなると筋腫や内膜症にもつながります。
また甘味は身も心も弛緩させるため、リラックス効果はありますが、摂りすぎると「やる気」も減退します。
自然の働きは私たちを生かそうとしてくれる反面、生命を減らしてバランスをとろうともしています。自然も断捨離するんです。自然界の「甘い罠」にひっかかってはいけません。

この「減らす」という行為ですが、健康以外の事にも応用ができます。私は少しせっかちなところがありまして、何か用事ができると一度に全て終らせようとするところがあります。しかし、こういうやり方をしていると常に何か用事が出来てくるのです。焦らないで「これは今度にしよう」と減らすと、不思議とそれ以上用事が増えません。欲しいものを何でもすぐ買う人と同じです。欲しいものをすぐに買う人は永久に欲しいものが消えないのです。欲しいものを全部買わないで一つ残しておくと、それ以上欲しいものは増えないんです。
いつも満腹食べる人も少しお腹に隙間が出来ると、すぐに食べたくなります。何事も腹八分がいいんですね。
また、物質と精神は陰陽関係になっており、物が無い時代には精神はプラスになりやすく、物が溢れる時代にはマイナス思考になりやすいのです。そしてマイナス思考が求めるものは精神的安定です。
物質文明が極に達した今、人々は精神社会を求めだしているのを感じます。現代医学も薬の過剰投与や治療過誤による問題が取り沙汰されていますが、延命こそ最良と考えるために起こる悲劇と言えるでしょう。全て「プラスの弊害」と言えます。これから鍼灸等の自然療法を求める人がさらに増えてくることは確実です。 
鍼灸療法が他のどんな医療にも絶対に負けていないと言える事、それは「歴史」です。節目の年を迎え、絶対に汚してはならない古宝に携わっているのだと痛感しております。

第93回香肌文庫 2013.11.1

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