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香肌文庫 第75回 病の深浅

鍼灸医学の古典に「浅い病はよく移動して常に居る所なし。深い病は留まりてその所を離れず。」とあります。例えば体の痛みでも、痛む場所がよく移動したり、どこが痛いかはっきりしないというような場合は軽症であり、反対に常にこの部位が痛いというような固定している痛みの場合は治り難いということです。実際臨床的にも前者は治り易く、後者は治るのに時間がかかります。
また、この浅い・深いという意味は軽い・重いという意味の他にも広い・狭い、急性・慢性、良性・悪性などにも置き換えることができます。 
私たち人間の個性も概ねどちらかに属すと言えます。例えば多趣味であったり、様々な知識が豊富な人は広く
知っていても深みに欠けるきらいがあります。.サラリーマン、サービス業等はこちらが向いているかもしれません。反対に学者や専門職の方は専門知識は大変造詣深いですが、他の分野にはまったく疎いという人が少なくありません。仮に一般のサラリーマンがこのタイプだと、「付き合いが悪い奴だ」とか「あれはオタクだ」となってしまいます。反対にオタクが専門職に付けば教授、名人です。
交友関係でも多くの友人を持つ人は浅く広く、また急性ということから誰とでもすぐ親しくなれます。一方特定の狭い交友関係を築く人は慢性なので他人に打ち解けるのに時間がかかりますが、一度親しくなると深い付き合いをします。
また、良性・悪性という観点から見れば、例えは悪いのですが、共に悪になれるのは深い絆であると理論的に言えます。幼少時に一緒にイタズラをした友達こそ忘れられないものです。善行は簡単にやめられても悪行からはなかなか抜けられないとも言えます。広いは浅い、狭いは深いというのは必然であり、物理学的にもいえることです。

広大に生きるか深遠に生きるかはその人の個性で決まるものであり、世の中両者が必要なのは言うまでもありません。ただ、病に関しては浅いうちに治しましょう。

第75回香肌文庫 2012.5.1

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