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香肌文庫 第69回 器と機

「病巣を切り取っても病気は残る」私の師が言った極めて東洋医学的な発言です。
「肝臓癌になる人は臓器を取替えても肝臓癌になる」これは以前お世話になっていた外科医の先生の言葉です。外科医として多くの癌患者を目の辺りにしてきた実感なのでしょうか。師匠と外科医の先生の言葉は医学が東西別でも同じ事を言っています。
「病気」と言う気の乱れが癌と言う「病巣」を作ってしまうということです。つまり、悪くなった部分を取り除くだけでは病気は治らないということです。例えば自動車の壊れたエンジンを取替えても、その原因が動力伝達や潤滑系統の異常であれば、いくらエンジンを取り替えてもまた壊れてしまうのと同じです。
九嶋先生という医学博士が行った実験によると、生理の止まった老ネズミの卵巣を若い雌ネズミに移植すると、立派に妊娠をするそうです。これも臓器の作用が目に見える「器」だけで行われず、「機」という見えない働きと共に成り立っている証拠と言えます。

現代医学は病気を治療すると言っても対象は病巣です。それは「器」が「機」を産むと考えるからです。
一方鍼灸治療は「機」が「器」に影響を与えると考えるため、病巣ではなく病気が対象です。 
我々鍼灸師は「鍼灸は気の治療です」などと釈然としない説明をしてしまいますが、この「気」とは「機」であるとイメージすれば少しは理解していただけると思います。
実際には病が器質的変化を起こすまで進んでしまうと治り難いのですが、悪化しないように養生し、前向きに明るく天命を全っとうしようとするなら、その人は病巣はあっても病気とは言えないのではないでしょうか。奇跡的な回復というのもこういう人に起こりうる気がします。   

第69回香肌文庫 2011.11.1

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