整体院に行く人、鍼灸院に行く人、整体で効果がなく鍼灸院へ移る人、またはその逆の人、様々です。整体と鍼灸の違いとは何でしょう?
整体は歪んだ骨格を整えることにより様々な症状を改善させる施術、鍼灸はツボと呼ばれる所へ鍼や灸をして体を活性化し改善させる施術、皆さんもこれくらいのことは認識されていることと思います。
しかし、なぜ症状を治す目的は同じであるのに施術方法が異なっているのでしょうか?　これには整体と鍼灸それぞれの病理観を知る必要があります。

まず、整体は様々な症状は骨格の歪みから起こるとし、その歪みを整えることで症状を改善させます。腰痛や肩こりだけでなく、内科疾患も骨格の歪みが原因と考えます。これに対して鍼灸は全ての症状を五臓（第一回東洋医学の方程式　参照）の弱りとし、それぞれの内臓に関連するツボに鍼や灸をすることにより内臓に力を与え、改善させます。骨格の歪みでさえ内臓の弱りが原因とします。例えば腎が機能低下すると腰周囲の骨格
に歪みが出たり、肺が機能低下すると猫背になるなどです。そして内臓に力をつけることでこれらの歪みは軽いものなら改善しますが、歪みはバランスをとるための防御姿勢と見て特に異常としないこともあります。
整体の先生の中にも内臓の弱りから骨格の歪みが生じると考える方がみえますが、治療としてはやはり骨格の矯正からです。

つまり、整体は病の根本原因を骨格の歪みとし、鍼灸は病の根本原因を内臓の弱りとしているのです。
私は鍼灸の専門で整体については素人なので、どちらが正しいとか悪いとかは言えません。それぞれ信頼できる良い先生を見つけて、ご自身で体感してください。

第13回香肌文庫　2006年