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香肌文庫第137回 腎虚証 


伊勢神宮が近いため時々参拝に訪れます。伊勢神宮といえば太陽神であり皇祖神でもある

アマテラス大神をお祀りする宮で、その歴史は神話の世界まで遡ります。

一方、ミステリー扱いされることも多い神社で、灯篭にユダヤ民族の象徴である六芒星が

刻まれていることから、古代ユダヤ教の神殿であるとか、失われたアークは伊勢神宮に

あるとか、伊勢音頭の意味不明な歌詞は古代ヘブライ語で解読できるなど、日本という国

は、古代イスラエルの歴史から突如と行方不明になった「失われた10支族」の辿り着いた

地であり、現在の日本人はその末裔とする「日ユ同祖論」の格好のネタにされることが

多いのです。

確かに伊勢神宮に限らず、日本の神社の拝殿やその祀り方は古代ユダヤ教にそっくりで、

文化や言葉にも驚くべき共通点は多いみたいなのですが、それにしても日本と遥か彼方に

あるイスラエルやユダヤ人を結び付けるのは飛躍し過ぎのような気がします。


ところが最近になって興味深い事実が判明したのです。日本人の顔立ちは中国や朝鮮の

人たちとよく似ており、古代には渡来人も多かったことから同じ系統の民族と思われて

きました。しかし最近の研究で、日本人は中国や朝鮮では確認できない特有の遺伝子を

持っていることが明らかになったのです。 NHKでも紹介されたことがあるので知ってい

る方もいるかと思いますが、それはYAP遺伝子と呼ばれるもので、日本以外に確認できる

所はチベットと中近東周辺で、古代イスラエル人もこのYAP遺伝子を持っているのです。

YAP遺伝子は父親から男性のみが受け継ぐもので、日本では約3~4割の男性が持っている

とされています。地域的には沖縄やアイヌの方に特に多く、その特徴は顔の彫りが深く

身長は低めで毛深いといった、いわゆる縄文系の顔立ちです。俳優の山田孝之さんみたい

な感じでしょうか。

大昔にイスラエルから日本に辿り着いたユダヤ人の集団が本当にいたのかも知れません。

ユダヤ人と聞くと白人系と思っている方が多いのですが、元々ユダヤ人と呼ばれた人たち

はセム系という人種で、肌も浅黒く、黒目黒髪の民族です。

また、YAP遺伝子の特徴は、人に優しく、争いの嫌いな穏やかな性質を持つそうです。


ここから鍼灸の話に入ります。私は臨床をしていて最近気づいたのですが、これまで書い

てきたYAP遺伝子を持つ人の特徴は、鍼灸や漢方でいう体質の腎虚証と重なるのです。

腎虚証は、東洋人離れした顔つき、ゆったりとしていて少し怖がりなところもあり、

毛深い人も多いのです。

ただ、YAP遺伝子のように腎虚証の父親の息子は腎虚証を受け継ぐというわけではなく、

親が腎虚証でも息子は脾虚証とかいう場合も多いのです。

ですから当然、YAP遺伝子を持つ人=腎虚証という図式は成り立たないのですが、日本人

のルーツというものを東洋医学的に見ると、YAP遺伝子の来た道と腎虚証を重ねてみたく

なるのです。

YAP遺伝子は、人類がアフリカで発生して様々な系統に枝分かれしていく段階の中でも

かなり初期にあたるもので、遺伝子の中でも先天的要素が強いとされています。

東洋医学でいう腎虚証や肝虚証も体質の中では先天の気に関連深いとされており、野生的

な体型やベビー体型を持つ人が多いのです。また、腎虚証は名称からも分かるように腎臓

と関連深いのですが、生命の根源を表すとされる河図洛書では「天一水(腎)を生ず」と

生命体は最初に腎が形成され、他の臓に分化していくとされています。


こう考えると、腎虚証や肝虚証は比較的古い要素を持った体質、古代イスラエル?から

南方ルートで最初に日本にやって来た民族で、脾虚証や肺虚証などは後の段階で形成され

た体質、日本へは後から大陸ルートでやって来た民族ではないかと想いは馳せるのです。

このような突拍子もないことを考えて以来、腎虚証の患者さんにお会いすると、この人は

失われた10支族の末裔ではないか?と非常に感慨深い気持ちで見つめてしまうのです。

かなり変な人になってしまいました…。
                      2017.7.1