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香肌文庫第127回 しょっぱい糠には酢 


その栄養価の高さから糠漬けが見直されています。糠漬けといえば田舎のお婆ちゃんと

いうイメージでしたが、美容にも良いということから、都会の若い女性の間でも糠床を作

る人が増えているとのことです。そんな糠漬けの話を先日お客さんとしていたのですが、

出来上がった漬物がしょっぱく感じる場合は、糠床に酢を混ぜるとバランスが取れてすごく

美味しくなるのだそうです。

この話を聞いて鍼灸師である私は「なるほど」とすぐに納得することができました。

実は塩味を和らげるために酸味を利用する方法は東洋医学の五行論なのです。

五行論とは万物は五種類の元素から成り立っているという古代中国に生まれた考えで、

全ての物は大きく五つに分類できるとしています。

例えば色は青・赤・黄・白・黒の五色、感情は怒・笑・思・悲・恐の五志、そして味は

酸・苦・甘・辛・塩の五味となっています。

そして個々が他とどのように関わりあっているかを示すのが下図です。

鍼灸の古典には「過剰なら子で減らせ」と書かれています。子とは自分の次に

来る者を指します。五味なら塩味の子供は酸味、酸味の子供は苦味というふうになります。

つまり、塩味が過剰ならば子である酸味を入れることで、塩味の力を減らすことができる

わけです。他にも五行論で考えることで色んなことが分かります。

上図の右側である五志は五つの感情を示したものですが、これも五味と同じです。

例えば、我々は何かに恐れて前へ進めない時が多々ありますが、こんな時には恐れの子に当たる

怒りを利用することにより恐れを減らすことができるわけです。

方法として、気に入らない奴の顔を思い出したり、過去にすごく腹が立った出来事を思い出して

不機嫌になることにより、怯えた心を奮い立たせることができるのです。

他にも五行論を物差しにすることで思いも寄らなかった大発見をすることができます。

このようなすごい理論を鍼灸師や漢方家だけが知っているのは本当にもったいない話です。

料理人なら五味、心理カウンセラーなら五志、絵描きなら五色の理論を知ることで新しい発見

ができることでしょう。

五行論は陰陽論と共に東洋医学の基本中の基本ですのでこの文庫でも度々紹介しています。

興味のある方は覗いてみて下さい。第一回「東洋医学の方程式」 第73回「臓腑の相性」


さて、もう九月になりますが、皆さん楽しい夏休みを過ごされましたか?

私の場合どこへ行くのも何を食べるのも子供中心の夏休み、財も体力も全て子供で減りました…。
                                  
                                  2016.9.1